研究課題/領域番号 |
23593154
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
國澤 尚子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (20310625)
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研究分担者 |
徳田 哲男 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (40073043)
佐野 恵美香 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教 (10404930)
三澤 哲夫 千葉工業大学, 工学部, 教授 (80056340)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | トイレの手すり / 前方設置型手すり / L型手すり / 車いす使用者 |
研究概要 |
本研究は、既存の前方設置型手すりを用いて便器前方に設置する有効性を検証し、安全で自立性の高いトイレ内動作および介助方法を提言することを目的としている。今年度は模擬車いす使用者がL型手すりおよび既存の前方設置型手すり(アドバンテージレール)を用いてひとりで移乗動作を行う様子について、三次元動作解析、筋電図(両上腕二頭筋、両僧帽筋、両大腿四頭筋、両腓腹筋)、主観、身体計測(身長、体重、座位肩峰高、座位膝窩高)、手すりの把持方法と手すりの把持位置などのデータを得た。 今年度の実験は、手すりによる動作の違いの評価方法を決定するための基礎的な実験として位置づけている。実験を繰り返し、結果を考察しながら評価方法を検討する方法もあるが、工学系のメンバーからの提案により評価方法を確立することを先行させた。そのため、さまざまな条件はできるだけ排除し、アドバンテージレールの水平手すりの高さは825mm、便器先端からアドバンテージレール垂直手すりまでの距離は400mm、車いす座面からの距離は370mm、車いすの角度は90度に固定し、水平手すりの角度90度と135度を条件とした。また、L型手すりについては、高さ705mm、便器側面から手すりまでの距離は550mm、便器先端からLの角までの距離は300mmに固定し、車いすの角度は90度に固定した。被験者の女性10人に、アドバンテージレール水平手すり90度、135度、L型手すりについて各5回動作を行ってもらった。なお、実験は千葉工業大学で行う予定であったが、埼玉県立大学で実施した。 手すりと前傾姿勢およびそのときに使われる筋肉量の関係、肘の角度と筋肉量と主観の関係、手すりの持ち替え回数と主観、これらの結果と体格との関係などを分析し評価方法を確立することにより、今後は統一した方法で実験を行うことが可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請時は高齢者を被験者として実験を行い、L型手すりと前方設置型手すりを用いた動作の違いを分析し、安全性、自立性について検証する予定であった。しかし、実験の打ち合わせを繰り返し、まず評価方法を確立することが重要であるとの結論に達した。そのため、今年度は若い女性を被験者として基礎的データを得ることとした。
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今後の研究の推進方策 |
今年度得られたデータの解析を進めるとともに、実験条件を変えてさらに実験を行う。水平手すりの高さ、車いすからの距離による影響が大きいと思われるため、これらを実験条件に加える。また、トイレ内での移乗中の転倒事故は回旋動作中の左右のバランスが崩れることが原因になっていると思われるため、回旋動作のみを取り上げ、重心動揺測定を行う。 また、今後は手すりの違いによる介助方法の違いについても三次元解析、筋電図、主観調査を行って、安全性、自立性の評価方法を検討する。 これらの結果をふまえて評価方法を決定し、高齢者や実際に手すりを必要とする患者を被験者とした実験および看護師、理学療法士を介助者とした実験を行う。 次年度は病院に入院している患者を対象とした調査および提案した介助方法の有効性を検討する予定であったが、評価方法が確立し次第行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験を行うため被験者への謝金と実験のための物品が主な使途である。そのほか学会参加費、会議のための交通費などを必要とする。 千葉工業大学では三次元解析装置、筋電図を使った実験を実施するため、平成23年度の残金を活用し、研究物品を購入する。
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