研究課題/領域番号 |
23593158
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研究機関 | 新潟県立看護大学 |
研究代表者 |
水澤 久恵 新潟県立看護大学, 看護学部, 助教 (20433196)
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研究分担者 |
深堀 浩樹 東京医科歯科大学, 保健衛生学研究科, 准教授 (30381916)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 看護倫理 / 道徳的感性 / 倫理的感性 / 道徳的推論 / 倫理的態度 / 尺度開発 / 看護専門職 |
研究概要 |
高齢化、先端医療の発達に伴う高度・複雑化、人々の価値観も多様化している現状にあり、看護職者の判断、行動には高い倫理性が求められている。そして、看護職者個人の道徳的感性や倫理的行動力の向上が倫理教育上の喫緊の課題である。本研究の目的は、現代の医療現場で働く看護職の具体的な判断と行動に結び付く現在に見合った「倫理的価値」概念の創出と、それに基づく倫理的評価尺度を開発することである。 初年度である平成23年度は、看護専門職の倫理的評価尺度の開発に向けて「倫理的価値」概念を創出するため、関連学会への参加を通して本研究に必要な情報収集とPubMed、CINAHL、医学中央雑誌Web版、PsycINFO等を用いて遡及可能な期間における国内外の文献の集積と検討をした。かつ、倫理関連著書を精読し倫理理論Ethical Theories(行為論、徳論、倫理原則、道徳規則)の俯瞰・整理を行い倫理的重要概念の明確化を図った。加えて、米国のUniversity of Pennsylvania School of Nursingを訪問し、医療や看護の現場における倫理的課題、看護者の倫理的感性、望ましい倫理的態度、現場の倫理教育全般に通ずる問題解決コアコンピテンシーに関して、生命倫理学者、看護倫理学者数名へのヒアリングを行った。 また、現在病院に勤務し多様な臨床経験をもつ各看護領域の専門看護師並びに国内の倫理研究者10名に看護専門職の「倫理的価値」すなわち、望ましい看護師の倫理的考えや態度を明らかにすることを目的としたインタビュー調査を行った。データは質的帰納的研究手法を用いて分析し、類似点、相違点などの視点からカテゴリーを抽出する作業に取り組んでいる。今後も尺度原案の作成に向けた測定概念の明確化を進め、倫理的評価尺度の開発を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
倫理的評価尺度の作成に向けた測定概念の明確化を図るための文献レビュー、専門看護師並びに国内の倫理研究者へのインタビュー調査など、概ね順調に進展しているが、公的医療機関、大学病院、地域医療支援病院、特定機能病院、救急指定病院等に勤務し多様な臨床経験をもつ各看護領域の専門看護師へのインタビュー件数が少なめであるため、次年度も引き続き質的データ分析は継続する。
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今後の研究の推進方策 |
今後も専門看護師並びに国内の倫理研究者のインタビュー調査の分析を継続し、道徳的感性、望ましい看護師の倫理的考え及び倫理的態度に関わる構成概念の明確化を図っていく。国内外の文献レビューや看護領域の専門看護師並びに国内の倫理研究者のインタビュー調査の結果から抽出、明確化された概念を基に、質問項目(item pool)の設定と測定形式を決定する。倫理的評価尺度の原案として絞られた項目を質問紙化して、平成24年度の予備調査でプレテストを行っていく予定である。項目決定にあたっては、項目の反応分布の確認、G-P分析、探索的・確証的因子分析を行う。そして、最終的に項目が決定した尺度(final scale)について、信頼性及び妥当性の検証、再現性の検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度に継続して、文献の概観、質的研究に必要な文献複写依頼、図書相互貸借、翻訳にかかる費用、資料収集、研究打ち合わせ、インタビュー調査のための旅費、通信費を計上した。インタビューデータのテープ起こしのための研究補助、調査対象者への謝礼も必要となる。更には、研究に必要な文房具、その他消耗品や研究を深めるための書籍の購入費用を考えている。予備調査は直接施設に出向き調査を依頼し研究許可を得ることを考えているため、調査対象者への調査依頼のための旅費、通信費、質問紙送付・返信のための郵送代金を要する。印刷部数が多いため、印刷は専門業者を活用する。データ入力、整理のための研究補助、専門的助言提供者への謝礼も必要である。統計学的解析をするための統計学的分析ソフトの購入代金が必要である。 研究に関わる検討会を実施するための会議費、旅費、順次研究成果を発表するための旅費、学会誌投稿料を計上している。
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