研究課題/領域番号 |
23593158
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研究機関 | 西武文理大学 |
研究代表者 |
水澤 久恵 西武文理大学, 看護学部, 講師 (20433196)
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研究分担者 |
深堀 浩樹 東京医科歯科大学, 保健衛生学研究科, 准教授 (30381916)
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キーワード | 看護倫理 / 倫理的感性 / 尺度開発 / 看護専門職 / 質的研究 / 概念分析 / 倫理教育 |
研究概要 |
平成24年度は、前年度から継続して測定概念明確化に向けての経験的アプローチとして質的研究を行い、多様な臨床経験をもつ各看護領域の専門看護師並びに国内の倫理研究者13名へのインタビュー調査結果から、看護職者に必要な倫理的能力の構成要素を明らかにした。昨年、米国のUniversity of Pennsylvania School of Nursingを訪問して生命倫理学者、看護倫理学者数名へのヒアリングから得た倫理教育全般に通ずる問題解決コアコンピテンシーの内容についても、分析過程において補完的に用いた。「看護師としての責任」「ケアリング」「アドボカシー」「価値観の育みと深化」「倫理的感受性」「道徳的推論」「自身の考えや行動についての内省」「限界の自覚」「前向きさ」等、看護師に必要な複数の倫理的能力の構成要素が明らかとなり、この研究の成果は国内および海外の学会で発表を行った。 また、理論的アプローチとして、初年度の倫理理論Ethical Theories(行為論、徳論、倫理原則、道徳規則)の俯瞰・整理に加え、倫理教育関係者が重要と唱える機会の多い“Ethical Sensitivity”が、医学、看護学の領域でどのように用いられているかについてRodgersの手法を用いた概念分析を行い、Ethical Sensitivity概念の本質を見出すとともに倫理教育における活用可能性を検討した。そして、これらの成果に基づいた倫理的評価尺度の質問項目(item pool)を作成した。更に尺度項目が構成概念と合致しているかどうかについて内容的妥当性、表面的妥当性を検討するため専門家やエキスパートによる批評を得る準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理論的、経験的アプローチから測定概念を明確化する作業に予定より時間を費やしたが、今後は質問紙原案についての内容的妥当性、表面的妥当性の評価を行い、修正を加えて一定の妥当性の確保に努めていく。
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今後の研究の推進方策 |
今後、倫理的評価尺度の原案として絞られた項目に修正を加え、質問紙による量的調査を行っていく。最終項目の決定にあたり項目の反応分布の確認、G-P分析、探索的・確証的因子分析を行う。そして、最終的に項目が決定した尺度(final scale)について、信頼性及び妥当性の検証、再現性の検討を行っていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
量的調査の分析に必要な統計学的分析ソフトウェア、研究に必要な文房具、その他消耗品や研究を深めるための書籍の購入費用を考えている。量的調査は直接施設に出向き調査を依頼し研究許可を得ることも考えているため、調査対象者への調査依頼のための旅費、通信費、質問紙送付・返信のための郵送代金を要する。印刷部数が多いため、印刷は専門業者を活用する。データ入力、整理のための研究補助、専門的助言提供者への謝礼も必要である。研究に関わる検討会を実施するための会議費、旅費、順次研究成果を発表するための旅費、学会誌投稿料を計上している。
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