研究課題/領域番号 |
23593159
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研究機関 | 山梨県立大学 |
研究代表者 |
小林 美雪 山梨県立大学, 看護学部, 講師 (30389978)
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キーワード | 無床診療所 / 安全 / 質的研究 |
研究概要 |
本年度は、昨年度、先行研究により得られた無床診療所の安全に関する研究の傾向および予備調査としてのフォーカスインタビューから得られた現在の無床診療所の院内さらには地域連携における成果と課題をもとに、参与観察およびインタビューを行った。 これまで国内の無床診療所の中に研究者が入り参与観察した研究は見当たらない。医療監視も十分に行えていない現状では、診療所の安全に関する「ひと」「もの」「システム」さらには、「経費」は、管理者の考え方で大きく異なっているのではないかと考えられるが、そのことを明確にもされてこなかった。今回の研究では、そのような外部監視がなく、診療報酬加算の評価が得られない中でも、限られた資源を活用しながら先進的に安全確保を行っている無床診療所(耳鼻咽喉科・歯科)を選定した。これは、本研究を行うことが、他の無床診療所の安全対策の参考になることを目的の1つとしたからである。 今年度は、それぞれの診療所に連日の参与観察を行うとともに、職員へのインタビューとグループディスカッションを行った。そこから見えてきたのは、組織管理体制も価値観の共有化にも異るところがあるが、2つの診療所の安全の考え方、安全対策、感染予防等の取り組みの重点の置き方には共通点が多いのではないだろうかということである。これは医療法において義務化された安全対策を基本としているのは当然であるが、現在の診療所組織の限られた資源(「ひと」「もの」「システム」「経費」)を活用しながら「地域全体の安全に貢献する」という拡大思考と考えられた。これについてはさらに調査研究を継続する中で明らかにする。これまでの研究では無床診療所の安全について量的な把握もなかなかされていないため全体フォームが見えない状況であるが、本研究では、まず個々の診療所においてどのような取り組みがされているかを知り、結果の一般化について考察していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度に行えなかった調査の準備を行なっていたことにより、調査開始が遅れたことと、調査方法の再検討を行い質的調査を中心としたことのより調査内容と分析方法を修正したことがある。次年度は、今年度開始した調査を進めて達成できるようにしたい。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、研究協力者の協力を得て、データ収集、データの分析方法の検討が行えた。次年度は今年度の協力者に加え、研究方法についての協力者を加えてまとめていくことを考えている。 研究計画としては、調査方法が質的調査を中心としたことで、調査期間が伸びる可能性が考えられる。これについては、研究の進捗状況を見ながらできるだけ調整していきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、本格的な調査を繰り返す。そのため協力者への謝礼、交通費、対象診療所の管理者・職員との会議費用が必要である、またシンポジウム、学会発表を考えている。
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