研究課題/領域番号 |
23593161
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研究機関 | 長野県看護大学 |
研究代表者 |
白鳥 さつき 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (20291859)
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研究分担者 |
渡辺 みどり 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (60293479)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 看護職者の労働安全衛生 |
研究概要 |
本研究は看護職者の労務上の危険のうち(1)「職業感染」(2)「抗がん剤への曝露」(3)「ラテックスアレルギー」(4)「患者・同僚及び第三者による暴力」について,知識とリスク認識の程度,防護策について明らかにし,効果的な教育プログラムを開発することを目的とした.23年度は(1)(2)(4)について関東甲信越地方10都県で郵送法による自記式質問紙調査を実施した.対象施設及び対象者は,200床以上の病院,200床未満の病院および老人保健施設を10都県から無作為に各県10施設,計300施設を抽出した.各項目の調査対象施設は重複しないよう配慮した.(1)「職業感染」では,同意が得られた看護職者1,552名(回収数1110名,71.5%),(2)「抗がん剤への曝露」では同意が得られた1059名(回収数829名,78.2%),(4)「患者・同僚及び第三者による暴力」では同意が得られた1298名(回収数1184名,91.2%)を対象とした.結果,(1)「職業感染」では,医療従事者が感染源になる可能性があると95%が回答していたが,勤務前や未滅菌手袋装着前の手洗いなど,必要な場面で手指衛生が徹底していなかった.また,職業感染に対する侵襲的処置のリスク認識は低い傾向にあった.(2)「抗がん剤への曝露」では,化学療法中の患者ケアに携わっている者は72.9%で11.4%が調剤をしていた.しかし,個人防護具の使用率は51.9%と低かった.マニュアル整備や管理者による確認も徹底されていなかった.(4)「患者・同僚及び第三者による暴力」では,日常的に暴力やハラスメントを受けていると回答した者が42%存在した.被害を受けている対象は「患者及び家族」,「医師」,「上司」の順であった.結果,看護職者は常に労務上の危険に晒されていながらリスク認識が低いことがわかった.今後は調査を継続し,教育プログラム開発のための内容や介入方法を検討する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は,看護職者の労務上の危険のうち「職業感染」「抗がん剤への曝露」「患者・同僚及び第三者による暴力」について関東甲信越地方を対象とした調査を実施,終了している.「ラテックスアレルギー」に関する調査は現在進行中である.平成24年度は,上記4項目の全体を把握するための全国調査を準備中である。また,関東甲信越地方の調査結果をもとに,「職業感染」と「抗がん剤への曝露」に関する研修会を9月に企画した。これらの成果を教育プログラムに反映する予定である。以上より,研究の進捗状況はほぼ順調と評価した.
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度は関東甲信越地方10都県を対象に「職業感染」「抗がん剤への曝露」「患者・同僚及び第三者による暴力」に関する詳細な調査がが終了している。平成24年度は、これらの調査結果を踏まえ,全体を網羅できる質問紙を検討し,調査を全国に広げて実施する予定。調査対象は200床以上,200床未満,老人保健施設と施設別に実施する.プログラム開発の試みとして,長野県内の看護職者を対象とした「職業感染」と「抗がん剤への曝露」に関する研修会を企画した.この研修会の結果を評価し,教育プログラム開発の資料とする予定.また,これらのデータを基に200~300床程度の施設を対象として、看護部と協力して教育プログラムを作成し、介入方法を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.全国質問紙調査予定 質問紙、封筒、封筒への印刷代、郵送費2.調査結果のデータ入力 入力センターに依頼3.介入施設と協働して教育プログラム作成(動画撮影、遠隔操作による講義)4.研修会の企画 (講師謝金)5.成果発表 国内、国外の予定
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