研究課題/領域番号 |
23593162
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研究機関 | 長野県看護大学 |
研究代表者 |
太田 克矢 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (60295798)
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研究分担者 |
竹内 幸江 長野県看護大学, 看護学部, 准教授 (00311902)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 輸液 / 気泡 / 抑制 |
研究概要 |
我々は「輸液ライン中の気泡発生を抑制する各種の方法を樹立し、患者の不安と看護業務の軽減」に寄与しようと考えている。 これまでにボトルを冷蔵保存することにより「輸液ボトルから、一定量の気泡をライン中に発生させる実験方法」を樹立、さらには「気相振とう法による、ほぼ完全な気泡発生の抑制」を報告した。しかし、冷蔵保存されたボトルの場合で、輸液開始前に35分間の処理を要する等、依然として解決・調査すべき点も多く残されている。 平成23年度は、超音波法と電子レンジ法の検討を実施した。電子レンジ法の開発と検討を進めた結果、冷蔵保存したボトルでも、これに必要な抑制処理の時間は、1~2分程度であることを明らかにした。一方、超音波法では、10分前後を要した。どちらの方法も、気相振とう法に必要な35分間の処理時間と比較し、時間短縮に成功したといえる。特に電子レンジ法の樹立では、大幅な短縮に成功した。また、ボトルを冷蔵保存した後、摂氏25度前後まで急速に温めることにより、室温付近の薬液であっても、気泡を一定量発生する実験用のボトルの作成に成功した。このボトルを用いて電子レンジ法を検証した結果、1分程度の処理時間で十分であった。方法論の普及には「簡便性と再現性」が最も重要な要素の1つであるが、家庭用の安価な電子レンジを用いて検討を行った。この点も加え、今回の電子レンジ法の樹立は、普及の観点からも非常に大きい意義をもつ。また、電子レンジ法の検討の結果、気泡の発生要因の1つに、ボトルの保存時と使用時の温度差が大きく影響していることも推察された。このことから、ボトルの保存温度を管理することにより、気泡の発生を抑制する方法についても検討すれば、機器を使用しない抑制手順の可能性も考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の最大の研究目的である「新たに提案する2種の方法での抑制処理の時間短縮」については、電子レンジ法の樹立により大きな時間短縮を実現し、目的を達成したといえる。また、電子レンジ法の検討と、これまでの実験の結果を総合して考慮すると、ボトルの保存温度を管理する抑制方法が、新たに検討すべき重要な課題としてピックアップされた。これが見出された点でも大きな進展があったと言える。一方、「臨床での、抑制処理のニーズ」については、臨床現場で働く複数の看護師からの意見を得ることはできたものの、大きな標本母体の調査には至らず、特筆する進展は得られなかった。しかしながら、種々の抑制法の概略が決まらなければ、抑制処理にかかる手間をニーズ調査の際に伝えることはできない。また、抑制に必要な手間は、ニーズ調査にも大きく影響することが予想される。大規模なニーズ調査を開始する前に、種々の抑制法について、さらに詳細な検討を先に進めた方が、方法論の普及や、研究の展開に、合理性がある。この為、ボトルの保存温度を管理することにより、気泡の発生を抑制する方法が、新たな重要課題としてピックアップされた点も考慮し、これらを総合的に判断すると、本年度の達成度は、おおむね順調に進展してると言える。
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今後の研究の推進方策 |
様々な温度で保存したボトルや生理食塩水以外の薬液について、電子レンジ法の詳細な検討を行い、方法論の樹立度を高めていく。また、ボトルの保存温度を管理することにより、気泡の発生を抑制する方法も、新たな方法として検討し、これの概略的な手法を樹立する。この為、ボトルの保存温度を管理できるペルチェ式の小型冷蔵庫を数台購入し、検討する。また、平成23年度に、電子レンジ法の樹立を進める過程の中で、薬液内の溶存酸素を指標として実験を進められる可能性が示唆された。この為、平成24年度に前述の両方法の検討の展開をはかる中で、溶存酸素計を実験のツールとして用い、研究のより迅速な進展をはかりたい。また、平成23年度に、現場の看護師らから、抗がん剤輸液の際に気泡の発生が多く、業務の負担が大きい旨の情報を得ている。この為、今まで以上に、検証する薬液の種類を増やすことで、方法論の汎用性の検証を行いたい。 両方法の、より詳細な検討結果が明確に示され、臨床応用の可能性が一定レベルを超えた場合、学内演習室で、実験室よりも臨床現場に近づけたシチュエーションでの抑制効果を検討する。さらに、この結果が良好と判断した場合は、臨床現場の看護師に示すことができる状態になったと考え、すみやかにニーズ調査の段階に移行していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度に、電子レンジ法の樹立を進める過程の中で、薬液内の溶存酸素を指標として実験を進められる可能性が示唆された。従来までは、毎回、種々の状態のボトルを、実際に輸液ラインに流すことで検討を進めていたが、溶存酸素計(1台15~20万円程度)を実験のツールとして用いることにより、研究の展開進度を促進できる可能性がある。この溶存酸素計や関連する物品に研究費を使用する。また、ボトルの保存温度を管理することにより、気泡の発生を抑制する、新たな方法も検討する為、摂氏1度単位で保存温度の設定ができる小型のペルチェ式冷蔵庫(1台10万円前後)を数台購入し、検討する。今まで以上に、検証する薬液の種類を増やすことが望ましい為、栄養剤や抗がん剤等も含めた薬液の購入にも研究費を使用する。より臨床現場に近づけた場合の抑制効果を学内演習室で検討する為、必要に応じて、輸液ポンプや点滴台を購入する。また、気泡の状態や、操作手順の記録をする為、気泡を写す精度を有するデジタル式の一眼レフカメラや、接写に必要な接写用レンズなどの関連用品、さらに、この画像処理に必要なPCを購入する。全体で予定していた物品の一部を変更することになるが、「次年度使用額」を充填していくことで研究全体の目的を達成できると考える。
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