研究課題/領域番号 |
23593164
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
藤原 奈佳子 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (30178032)
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研究分担者 |
永井 昌寛 愛知県立大学, 情報科学部, 准教授 (60242905)
柳澤 理子 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (30310618)
森 雅美 金城学院大学, 薬学部, 教授 (80080216)
賀澤 弥貴 愛知県立大学, 看護学部, 助教 (10363954)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 病棟看護師 / 退院支援 |
研究概要 |
病棟看護師を対象として平成24年2月20日から平成24年3月16日に質問紙調査「病棟看護師の退院支援に関する調査」を実施した。調査目的は、病棟看護師が退院支援にどのように関わっているか、現状の問題点などを把握することである。調査対象は、病棟看護師全員(病棟看護師全員(ただしNICU・ICU・産科・OP・外来に配置の看護師を除く)。 調査項目は退院後療養生活のイメージ予測、退院支援でのアセスメントや情報収集の難易度、看護退院サマリ記録などである。このアンケートにおいて、「過去1年間に受け持った回復期・慢性期に入った時の治療の継続や障害が残った場合の長期療養が必要な患者」「患者」とした。分析は看護職経験6区分(3年未満、3-7年、7-10年、10-15年、15年以上、主任・師長)別に集計した。 結果:1.回収率は80.1%(配布数216部、回収数173部)であった。2.過去1年間の退院調整が必要な受け持ち患者において、退院後の患者の療養生活のイメージが予測できた割合(全くできなかった場合を0%、退院調整が必要な受け持ち患者全員の退院後療養生活のイメージができた場合を100%)は、入院時は平均43.3%、退院時は75.1%であった。看護職経験が3年未満では入院時36.2%から退院時67.0%に、15年以上では入院時49.5%から退院時80.0%であった。3.病棟看護師による退院調整スクリーニング項目では患者に適した具体的な社会資源の利用方法や入院時の医療処置や日常生活に関するケアを在宅療養でも継続させるための具体策などのアセスメントに困難を感じていた。4.退院時退院支援計画では7-15年の経験者で困難を感じている者の割合が多かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は退院調整に関する実態調査を病棟看護師と患者の両者で実施することとしていたが、退院患者についての調査は実施できなかった。 病棟看護師の退院支援に関するとらえ方について、看護職経験別に分析することにより、これらの退院支援のアセスメントの精度についての検討の必要性を見いだしたことは意義があった。 患者を対象とした調査は、交付申請当初より退院患者を対象とした調査は平成24年度も継続して実施することとしており、平成24年度での実施で全体の計画に支障はない。これらのことより、研究計画はおおむね順調に進展していると考えた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究目的は、望ましい生活支援システムのあり方の提案・設計・開発である。平成23年度に実施した病棟看護師の退院支援に関する調査結果にもとづき、より的確な退院支援が可能となるような退院支援を検討する。 病棟看護師の退院調整スクリーニングでの判断が的確かどうか、またどのような項目を用いるとより精度が高い判断となるかについて患者の状況チェック欄と退院調整欄との電子カルテ上のリンクさせる項目を検討し、退院調整スクリーニング判断支援システムを充実させる。一方、在宅療養が必要となる患者を対象に退院後の在宅での生活の観点から看護退院サマリで把握すべき項目を検討する。 多職種合同会議で退院調整に関するシステム導入前の退院調整機能の実態調査結果をふまえて退院支援システムを提案し、患者が保持する『私の療養生活手帳』を設計する。これらの手帳を保持して退院した療養者に対して退院後3ヶ月後に手帳の使用に関してアンケート調査または面接調査を実施しながら手帳の不具合を修正してゆく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度に予定していた在宅療養が必要となる患者を対象とした調査の開始が遅れて次年度となったため、平成24年度に繰り越した。 本研究ではシステム導入前(平成23年度)および導入後(平成25年度)の退院調整に関する実態を質問紙調査法、面接調査法から把握する。このために、調査内容項目の設定に際して文献調査に要する複写費、研究連絡用の通信費、消耗品費(USBフラッシュメモリ、質問紙印刷用のペーパー、トナーカートリッジ、データ整理用のファイルなど)、調査から得られたデータの入力委託費、『私の療養生活手帳』試作費用、成果発表や資料収集にかかわる旅費、患者を対象とする調査にかかわる人件費・謝金などの計上が必要となる。
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