研究課題/領域番号 |
23593164
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
藤原 奈佳子 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (30178032)
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研究分担者 |
永井 昌寛 愛知県立大学, 情報科学部, 教授 (60242905)
柳澤 理子 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (30310618)
森 雅美 金城学院大学, 薬学部, 名誉教授 (80080216)
賀澤 弥貴 愛知県立大学, 看護学部, 講師 (10363954)
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キーワード | 在宅療養者 / 看護退院サマリー / 退院支援 / 生活支援システム |
研究概要 |
本研究は、患者側が抱く療養生活上のニーズをふまえた「退院後に在宅療養が必要な患者の生活支援システム」を構築することを最終的な目的としており、このシステムに看護師の『退院サマリー』を活用することに新規性をみいだしている。平成24年度は次の3つの課題で研究実施した。 1.病院で稼働中の退院調整スクリーニング支援システムに関する検討:病棟看護師の退院調整必要性の判断について、病棟看護師と退院調整室看護師の判断の相違を把握することを目的とした。平成24年6月1日から同年6月30日までの期間にA病院の退院調整スクリーニング実施患者1161名のうち27名で退院調整必要性の判断に相違があった。相違があった患者の記録者である病棟看護師の看護師経験年数は、5年未満が33.3%、5-9年が22.2%、10-19年が25.9%、20年以上が18.5%であり、経験年数に一定の傾向を認めなかった。現在稼働中の退院調整スクリーニング支援システムは、評価項目をチェックすることにより自動的に退院調整の必要有無を判断できるシステムになっているが、特に介護保険認定の状況など在宅療養に必要な情報の看護退院サマリへの反映に必要性が検討された。 2.在宅療養者が日常生活の継続に必要なニーズ調査:在宅療養が継続できずに2ヶ月以内に再入院した患者29名を対象に面接調査を実施した。面接調査の結果から、今回入院直前の退院時に、看護師から具体的な生活支援(入浴時や浴槽整備の留意点など)がされていた例はほとんどないことを把握し、これらの項目についての看護退院サマリーへの反映を検討した。 3.在宅療養者のための看護退院サマリーを用いた生活支援システムの設計試作:本システムを設計する上で、基本方針として看護退院サマリーをもとに生活支援情報を抽出・提供することにより在宅療養者の生活を情報面から効率よく支援できるシステムの設計を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請当初の計画では、望ましい生活支援システムのあり方の提案・設計・開発に際しての研究方法としてアクションリサーチを実施する予定であった。しかし、平成23年度にA病院で実施した病棟看護師の退院支援に関する調査結果から、退院時退院支援計画では、7-15年の経験者で計画立案の困難を感じている者の割合が多いことを把握した。このため、平成24年度は、A病院で現在稼働している退院調整スクリーニング支援システムに関する検討をする計画をたて、病棟看護師と退院調整室看護師の判断の相違と経験年数とは一定の傾向は見いだされないことを確認した。また、再入院患者を対象とした面接調査により、療養者のニーズの一部を把握できた。 これらのことより、研究計画はおおむね順調に進展していると考えた。
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今後の研究の推進方策 |
システム開発の主な視点は、在宅療養をしてゆく者への生活支援や地域社会資源の利用時の活用である。患者が保持する手帳『私の療養生活手帳(仮称)』を作成し、院内病棟から地域連携室を通して患者の生活を支援するシステムを開発してゆく。
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次年度の研究費の使用計画 |
システムの総合的な評価として、医療者からみた評価と療養者からみた評価について多面的におこなう。 試作した患者が保持する手帳『私の療養生活手帳(仮称)』の有用性について、医療職者と在宅療養者(平成25年度に実施した在宅療養者が日常生活の継続に必要なニーズ調査対象者)の双方の立場からその有用性について調査し、報告書を作成する。このために、『私の療養生活手帳(仮称)』試作にかかわる印刷費・物品費、文献複写費、調査から得られたデータの入力委託費データ整理・研究補助に関する人件費、成果発表にかかわる旅費などの計上が必要となり、平成24年度研究費の未使用金と平成25年度研究費を併せて使用する。
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