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2011 年度 実施状況報告書

腰痛要因となる危険前傾角度をリアルタイムに自己チェック可能な学習教材の開発と応用

研究課題

研究課題/領域番号 23593167
研究機関滋賀県立大学

研究代表者

伊丹 君和  滋賀県立大学, 公私立大学の部局等, 教授 (30310626)

研究分担者 安田 寿彦  滋賀県立大学, 工学部, 教授 (60157998)
米田 照美  滋賀県立大学, 公私立大学の部局等, 助教 (00353037)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード腰痛 / ひねり / 看護動作 / 学習教材
研究概要

本年度は,腰痛予防のための動作姿勢学習教材の開発を試みた.教材開発にあたっては,腰痛要因となる動作時危険前傾角度を「音」機能によって動作者自らがリアルタイムに自己チェック可能な学習教材を目ざしている.なお,開発にあたっては,装着・操作が容易,安価,耐久性に優れたものとした.また,可能な限り安価なセンサ材料を使用し耐久性に優れた装着具の作成も試みた.本学習教材の機能としては,動作時の前傾角度表示,動作映像表示,評価アニメーション表示機能に加え,動作時の腰部負担域をリアルタイムに体感するため,危険な前傾角度での「音発生」機能を搭載している.このほか,操作を容易にするため無線化した.一方,動作時腰部負担は「前傾角度」に「ひねり」が加わることによって増大するとの報告をもとに,今回新たな試みとして,「前傾角度」とともに「ひねり」角度測定機能の追加を試みた.「ひねり」測定機能も追加した教材活用評価のプレテストを行うため,2名の看護師を対象にベッドメーキング動作を行い,角度変化を検証した.2回の動作を比較した結果,両者ともに「前傾角度」「ひねり」角度は減少しており,教材活用の効果があることが示唆された.また,看護動作時に「ひねり」が加わることを再確認することができた.その後,看護学生28名を対象に車椅子移乗動作を行い、本学習教材活用の評価を行った.その結果,「前傾角度」は平均25.8°から18.4°に改善が認められ,「ひねり」角度も平均7.1°から5.3°に減少した.ボディメカニクス活用の腰痛予防についての意識も教材活用後に点数が向上した.以上のことから,本学習教材活用の有効性が示唆された.また,自己学習可能な動作時「前傾角度」を「音発生」によって告知できる教材開発も引き続き行っている.59名の看護学生を対象に教材活用の評価を行った結果,活用回数が多い者ほど効果が大きいことが示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

看護師および介護職の職業性腰痛は深刻であり,離職者防止の観点からも腰痛対策は急務である.看護動作における腰痛発症の要因として上体を前屈させる前傾姿勢があげられるが,自らの動作姿勢を客観的にいかに自覚するかが重要である.そこで,本研究では腰痛要因となる動作時危険前傾角度をリアルタイムに自己チェック可能な学習教材を開発し,教育効果を高める活用方法を検討することを目的としている.また,看護師・看護学生および介護職や地域在住介護者などを対象に,実践の場で活用することによって,対象者の腰痛予防に対する意識向上と動作姿勢・腰痛改善をめざすものである.平成23年度は,動作時腰部負担は「前傾角度」に「ひねり」が加わることによって増大するとの報告をもとに,新たな試みとして,「前傾角度」とともに「ひねり」角度も測定できるよう機能追加を試み,学習教材開発をすすめている.自己学習可能にするまでは引き続き改良が必要であるが,動作時の「前傾角度」だけでなく「ひねり」も加えて評価することは腰痛予防のためには重要であり,引き続き研究をすすめていきたい.また,自己学習可能な動作時「前傾角度」を「音発生」によって告知できる教材開発もほぼ完成に近づいている.可能であれば,小型の携帯機器を作成し,勤務帯に装着し動作することによって,自己の動作姿勢を実際的に評価可能なものにしていくことがのぞましいが,その機器開発にはまだ取り組めていない.

今後の研究の推進方策

今後も引き続き,教材開発に重点を置き研究をすすめていきたい.平成21年度より研究代表者(伊丹)らとともに腰痛対策についての共同研究をすすめている彦根市立病院看護部の協力も得ているので,開発した教材の活用評価は看護現場の看護師の方も対象に行う予定である.可能であれば,小型の携帯機器作成のありようを看護師から意見聴取し開発へとつなげていきたいと考えている.また,滋賀県立大学人間看護学部および工学部機械工学科の学生の協力も得て,教材開発の評価を行いながら,本学習教材活用における教育効果をさらに高める方法の検証を行っていきたいと考えている.研究代表者(伊丹)および分担者(米田)は,看護学生を対象にボディメカニクスを活用した看護動作を看護技術演習で教育しており,実際の看護教育の場で試行錯誤しながら検討していきたい.

次年度の研究費の使用計画

次年度も引き続き,教材開発を行うため,電子部品などの費用は必要である.また,改良した教材の活用評価を行うための,被験者人件費および研究補助者の人件費も必要である.データ分析のためのソフトおよび学会発表のための旅費も必要である.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 医療現場に勤務する看護師を対象としたボディメカニクス学習教材の活用と評価(第2報)2012

    • 著者名/発表者名
      伊丹君和,安田寿彦,西村泰玄,落合悠佑,米田照美,松宮愛,古川純子
    • 雑誌名

      人間看護学研究

      巻: 10 ページ: 1-8

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 先輩看護学生参加型の看護技術演習における協同学習への取り組み2012

    • 著者名/発表者名
      米田照美,伊丹君和,松宮愛,中西佳子,西久保奈央子
    • 雑誌名

      人間看護学研究

      巻: 10 ページ: 43-49

  • [学会発表] 先輩看護学生参加型の看護技術演習における協同学習の取り組み2011

    • 著者名/発表者名
      米田照美,伊丹君和
    • 学会等名
      第37回日本看護研究学会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2011.8.8
  • [学会発表] 看護者のためのボディメカクニクス学習支援システムの試作-第4報 グラフィックユーザーインタフェースの導入とその効果-2011

    • 著者名/発表者名
      安田寿彦,西村泰玄,伊丹君和,落合悠佑
    • 学会等名
      生活生命支援医療福祉工学系学会連合大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2011.11.3

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公開日: 2013-07-10  

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