研究課題/領域番号 |
23593170
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
細田 泰子 大阪府立大学, 看護学部, 准教授 (00259194)
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研究分担者 |
星 和美 大阪府立大学, 看護学部, 教授 (40290358)
中岡 亜希子 千里金蘭大学, 看護学部, 講師 (60353041)
中橋 苗代 京都橘大学, 看護学部, 助教 (60454477)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 臨床学習環境 / デザイン / 育成プログラム / 実践的風土 / コンピテンス / 学生 / 新卒者 / プログラム評価 |
研究概要 |
本研究の目的は、学生や新卒者の臨床コンピテンスを培うために実践的風土を創造することのできる人材として、臨床学習環境デザイナーを育成するプログラムを構築することである。平成23年度は国内外の学生や新卒者を支援する教育指導者の育成の現状を把握するため、以下を実施した。1. 学生・新卒者および教育指導者の育成プログラム、コンピテンス、風土、学習環境、教育組織・活動・道具のデザインに関する国内外の著書や論文を収集し、文献検討を行った。2. 学生や新卒者を支援する教育指導者の育成プログラムの成果や課題およびニーズを把握することを目的に、看護協会、医療機関が主催する教育指導者を対象とする講習会等の視察を行った。研究協力者は、看護協会2施設から4名、公的医療機関3施設から5名、民間医療機関3施設から5名の講習会等の企画運営担当者で、教育指導者の育成プログラムの成果や課題およびニーズについてインタビューを行った。本研究は研究代表者の所属機関の研究倫理審査を受け承認を得た。インタビューは許可を得て録音し、逐語化した。現在、データの分析を進めている。3. 教育機関の視察では、米国のOregon Health & Science Universityにおける教育・学習活動、特に臨床教育モデルに焦点を絞り、視察を行った。Simulation and Clinical Learning CenterにおけるHigh-Fidelity Simulation、大学病院における臨床実習、大学院のCurriculum and Instruction in Nursingコースの参加観察およびキーインフォマントのインタビューを行った。分析の結果、臨床コンピテンスの育成、実習における学習環境の影響、インストラクショナルデザインの概要を把握することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4年間の研究期間において、以下の4点:(1) 国内外の学生や新卒者の教育指導者の育成の現状を文献検討および視察により把握、(2) 教育指導者の臨床学習環境をデザインする能力の育成に関するニーズの分析、(3)臨床学習環境デザイナー育成プログラムの構成、(4) プログラムの試行と評価を行い、その適合性および教育の効果について検討することを目指している。平成23年度は、国内外の学生や新卒者を支援する教育指導者の育成の現状を把握するため、文献検討および看護協会、医療機関、教育機関の視察を実施し、教育指導者の育成プログラムの成果や課題およびニーズに関する質的データを収集した。インタビューで得られたデータは逐語化し、質的記述的分析を進めている。 本研究は、研究概要を紹介するホームページを作成し、広く社会に向けて公表している(URL:http://www.nursing.osakafu-u.ac.jp/~hosoday/gaiyou.html)。本研究は当初の計画通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的を達成するため、以下の推進方策を定めた。研究プロセスにおいて、海外の研究者、病院の看護管理者、看護協会職員より随時、専門的助言を得ることとする。1. 教育指導者の臨床学習環境をデザインする能力の育成に関するニーズの分析(平成24年度):看護協会、医療機関が主催する教育指導者を対象とする講習会等の企画運営担当者のインタビューから得られたデータを分析し、教育指導者の育成プログラムの成果や課題およびニーズを明確にする。また、医療機関および教育機関の管理・教育責任者50名程度、教育指導者100名程度を対象に質問紙調査を実施し、教育指導者の臨床学習環境をデザインする能力の育成に関するニーズを明らかにする。これらのニーズ調査の結果は、国内外の会議および専門誌への投稿などにより公表する。2. 臨床学習環境デザイナー育成プログラムの構成(平成24年度~平成25年度):文献検討、視察、ニーズ調査の結果より、臨床学習環境デザイナーの育成プログラムを構成する。その際、プログラムと参加者のコミュニティでの活動との間に生じる相互作用に重点を置き、具体的な方法を含めたプロセスと期待するアウトカムを検討する。3. 臨床学習環境デザイナー育成プログラムの試行と評価(平成25年度~平成26年度):医療機関および教育機関より、研究参加者を募る。初回の講義は、プログラムの参加者(介入群)と講義のみの参加者(対照群)を集め、導入時、途中、終了時においてプログラム評価を行う。4. プログラム評価結果の分析・成果発表(平成26年度):本研究のプログラム評価の結果を、国内外の会議および専門誌への投稿、講演、教育活動を通して広く周知するとともに、ホームページを用いて広く社会に向けて公表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、ニーズ調査を実施する予定であるため、アンケート費、研究のデータ入力・資料整理補助、通信費、印刷費の経費が必要である。研究データの分析のため、統計解析ソフト、記録媒体を購入する予定である。また、研究者間の打ち合わせ会議を企画しているため、国内旅費と会議費を要する。 また、本研究に関する文献検討を継続するため、図書および雑誌購入の費用が必要である。国際学会に参加し、また海外の研究協力者との打ち合わせを行うため、外国旅費を要する。
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