研究課題/領域番号 |
23593170
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
細田 泰子 大阪府立大学, 看護学部, 准教授 (00259194)
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研究分担者 |
星 和美 大阪府立大学, 看護学部, 教授 (40290358)
中岡 亜希子 大阪府立大学, 看護学部, 准教授 (60353041)
中橋 苗代 京都橘大学, 看護学部, 助教 (60454477)
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キーワード | 臨床学習環境 / デザイン / 育成プログラム / 実践的風土 / コンピテンス / 学生 / 新卒者 / プログラム評価 |
研究概要 |
本研究の目的は、学生や新卒者の臨床コンピテンスを培うために実践的風土を創造することのできる人材として、臨床学習環境デザイナーを育成するプログラムを構築することである。平成24年度は教育指導者の臨床学習環境をデザインする能力の育成に関するニーズを分析するため、以下を実施した。 1. 学生や新卒者を支援する教育指導者の育成の現状を把握するため、看護協会、医療機関の講習会等の企画運営担当者14名から得たインタビューデータの分析を行った。その結果、教育指導者を対象とするプログラムに関する取り組み、成果、課題、ニーズが明らかになった。 2. 教育指導者の臨床学習環境をデザインする能力の育成に関するニーズを明らかにするため、医療機関の教育責任者(施設の看護職の教育プログラムの企画・運営の責任者)と教育指導者(各部署で中心となって新卒者や学生の教育指導を行う看護職)を対象にニーズ調査を実施した。調査内容は、インタビューデータの分析結果と関連文献をもとに検討した。教育責任者を対象とする調査内容は、教育指導者の学習ニーズと学習方法、受講機会がある研修内容と有用性、研修プログラムの課題、課題への取り組み、属性とした。教育指導者を対象とする調査内容は、教育指導者の学習ニーズと学習方法、受講したことがある研修内容と有用性、学習におけるメタ認知、看護師の職務キャリア尺度、研修プログラムの課題、属性とした。調査では、全国の一般病床数500床以上の医療機関より比例層化抽出法を用いて200施設を抽出し、調査の了解が得られた89施設に所属する教育責任者(各施設1名) 89名と教育指導者(各施設10名以内) 614名を対象にニーズ調査を郵送法で行った。本研究は研究代表者の所属機関の研究倫理審査を受け承認を得た。現在、データの分析を進めている。 3. 米国と日本における学生の臨床学習環境に関する比較検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4年間の研究期間において、以下の4点:① 国内外の学生や新卒者の教育指導者の育成の現状を文献検討および視察により把握、② 教育指導者の臨床学習環境をデザインする能力の育成に関するニーズの分析、③臨床学習環境デザイナー育成プログラムの構成、④ プログラムの試行と評価を行い、その適合性および教育の効果について検討することを目指している。 平成24年度までに以下のことを実施してきた。学生や新卒者の教育指導者の育成の現状を看護協会、医療機関の講習会等の企画運営担当者を対象とするインタビューを実施し、インタビューデータの質的分析により、教育指導者を対象とするプログラムに関する取り組み、成果、課題、ニーズを明らかにした。その分析結果をもとに教育指導者の臨床学習環境をデザインする能力の育成に関するニーズを分析するため、医療機関の教育責任者と教育指導者を対象とするニーズ調査を実施し、分析を進めている。米国の教育機関と医療機関の視察を行い、実習における臨床学習環境、臨床コンピテンス、インストラクショナルデザインを探究し、日本との比較を行っている。 本研究は、研究概要を紹介するホームページを作成し、広く社会に向けて公表している(URL:http://www.nursing.osakafu-u.ac.jp/~hosoday/gaiyou.html)。本研究は当初の計画に従い、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的を達成するため、以下の推進方策を定めた。 1. 米国と日本の看護学実習における臨床学習環境に関する比較検討の結果を公表する。看護協会、医療機関が主催する教育指導者を対象とする講習会等の企画運営担当者のインタビューから得られたデータ分析の結果を公表する。教育責任者および教育指導者を対象とするニーズ調査の分析を行い、教育指導者の臨床学習環境をデザインする能力の育成に関するニーズを明らかにし、その結果を公表する。 2. 文献検討、視察、インタビュー調査、ニーズ調査の結果より、臨床学習環境デザイナーの育成プログラムを構成する。その際、プログラムと参加者のコミュニティでの活動との間に生じる相互作用に重点を置き、具体的な方法を含めたプロセスと期待するアウトカムを検討する。 3. 臨床学習環境デザイナー育成プログラムの試行と評価を行う。学生や新卒者を支援する教育指導者を対象に研究参加者を募る。育成プログラムの導入時、途中、終了時においてプログラム評価を行う。本研究のプログラム評価の結果を、国内外の会議および専門誌への投稿、講演、教育活動を通して広く周知するとともに、ホームページを用いて広く社会に向けて公表する。 研究プロセスにおいて、国内外の看護教育学の研究者、病院の看護管理者、看護協会の職員より随時、専門的助言を得ることとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、教育指導者の臨床学習環境をデザインする能力の育成に関するニーズ調査の分析を行い、その結果から明らかとなるニーズを検討するため、統計解析ソフト、記録媒体を購入する予定である。研究者間の検討会議を企画しているため、会議費、国内旅費を要する。また、研究成果をまとめ、協力機関に報告するため、資料整理補助費、印刷費、通信費が必要である。国内および国際学会に参加し、研究成果を発表するため、国内および外国旅費を要する。本研究に関する文献検討を継続するため、図書および雑誌購入の費用が必要である。
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