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2011 年度 実施状況報告書

看護系教育機関における効率的な細菌学演習を支援するデータベースの構築と運用

研究課題

研究課題/領域番号 23593177
研究機関福岡県立大学

研究代表者

杉野 浩幸  福岡県立大学, 看護学部, 准教授 (90258434)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード細菌学実験
研究概要

細菌学演習の実施状況の把握を中心に調査活動を行い、実際に演習を行う上での問題点をピックアップした。K大学医学部看護学科において実施されている細菌学演習(科目名:微生物と感染、2学期)および、S大学医学部看護学科における実施状況を調査した。K大学では、医学部医学科教員が15回の講義・実習を実施しており、7回の講義、5回のウイルス学実験、2回の細菌学実験を実施していた。しかしながら、内容は極めて簡便な培養操作のみであり、看護学部教員は参加していないということが明らかとなった。S大学では、実験を実施しておらず、看護学部において実験を実施できる教員が不在である事実を把握することができた。多くの大学では、医学部教員に依頼することが多く、医学部が併設されていない場合は細菌等を扱う実験を実施しないという事実が明らかとなった。さらに、多くの情報を得るために看護の科学社(東京、大塚)および学研メディカル秀順社(東京、西五反田)における看護系情報誌の編集長および編集担当者との情報交換を行い、実験そのものよりも、いわゆる量的研究が苦手であるため、質的研究を中心に活動を展開するケースが増えており、実験などと比較するとやや簡便な調査紙による集計のみでその結果をまとめ、紀要(論文ではなく報告やノート)に投稿する形態が増えているとの情報を集約することができた。このように、量的研究を嫌い、質的研究(簡便な調査実施程度の研究)に流れていくため、事前に綿密な計画や準備、手技の習得が必要な実験を避けている傾向が明らかとなった。このことは、多くの紀要、看護系学会誌においても、原著論文として認められる投稿が激減しており、看護学教育学会においても原著論文の審査に受かるためのワークショップが開催されるほどである。初年度の研究によりこのような看護研究の問題点を明らかにすることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

複数の看護学科における細菌学実験実施状況を調査し、その実態を把握することができた。また、全国の看護系大学との交流がある大手出版社(看護の科学社、学研メディカル秀潤社)の編集担当者との意見交換を行うことで、実験及び、看護研究そのものの問題点も明らかにすることできた。実験研究、量的研究を実施したいというニーズ、しかし、ハードルが高く無理ではないかと諦めている実態を把握でき、その解決のため、両出版社において細菌学実験を紹介する連載や書籍の出版契約を行った。現在は6回の細菌学実験の紹介記事を掲載中であり、細菌学実験のテキスト作成を協議している段階である。また、継続して全国の実験研究、量的研究の実施状況について情報提供をしていただくことになり、より多くの情報収集と情報発信を実施できる体制を整えることができた。

今後の研究の推進方策

1)簡便で効果的な細菌学演習の提案:すでに本学で実施済みである、整腸剤を使用する演習方法(感染対策の意識を高める体験学習、看護きろくと看護過程、2008,vol.18,no.1,68-71)やSPトローチを用いた細菌学演習マニュアルを作成し、新しい演習方法として公開する。また、マニュアルそのものをホームページに掲載し、自由に閲覧、ダウンロードできるように設定する。また質問を随時受け付け、希望があれば直接指導が可能であることをアピールし、ホームページを介して気軽に問い合わせができるように入力フォームなどの設置を行う。2)細菌培養、取扱講習会の実施:上記の演習に加え、グラム染色、阻止円の作成など、やや技術的にレベルの高い細菌実験についても、希望する大学に出向き、直接指導を行う。そのため、看護系情報誌において実験記事の連載を継続し、全国にアピールを行っている。平成23年3月より6ヶ月連続で細菌学実験について紹介する記事を看護実践の科学(看護の科学社)に掲載し、そのまま利用出来る無料のマニュアルとし、こちらでも出張指導が可能であることを強調している。このように、具体的な実験方法の提示と指導の実施を中心としながら、さらに実験を実施する際の問題点、困難な点を把握していくことを目的とする。なお、大手出版社(看護の科学社、学研メディカル秀潤社)との連携により多くの情報を得ることができたため、出張回数が予定より少なく次年度に使用する予定の研究費が発生している。この研究費は同様に前述の出版社との情報交換を目的とした出張旅費として使用する予定である。

次年度の研究費の使用計画

以下について研究費の使用を計画している。1)実験指導において使用する消耗品購入(細菌培養用培地、滅菌綿棒や抗生物質を含むディスク)、2)新しい実験を開発し、試すための消耗品購入(同じく細菌培養用培地など)、3)細菌実験マニュアルの作成、ホームページ作成のための作成ソフト、専用のデスクトップPC、レンタルサーバ費用、インターネット接続用通信費などのソフトウエア、機器購入費、通信費、4)実験指導時に使用するマニュアル印刷のためのプリンタ、インクなどの消耗品、5)指導、情報収集、学会発表などの出張旅費

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 看護研究のための基礎細菌学実験(1)、手指常在菌の検出と消毒効果(Staphylococcus属)2012

    • 著者名/発表者名
      杉野浩幸
    • 雑誌名

      看護実践の科学

      巻: vol.37 no.2 ページ: 52-55

  • [雑誌論文] 看護研究のための基礎細菌学実験(2)、咽頭常在菌の検出(Staphylococcus属、Neisseria属)2012

    • 著者名/発表者名
      杉野浩幸
    • 雑誌名

      看護実践の科学

      巻: vol.37 no.3 ページ: 56-59

  • [雑誌論文] 看護研究のための基礎細菌学実験(3)、口腔常在菌の検出(Streptococcus属、Haemophilus属)2012

    • 著者名/発表者名
      杉野浩幸
    • 雑誌名

      看護実践の科学

      巻: vol.37 no.4 ページ: 46-50

  • [学会発表] 感染看護の理解力向上を目指す授業改善:細菌学演習において感染防御に関わる細胞組織観察を取り入れた事例2011

    • 著者名/発表者名
      杉野浩幸
    • 学会等名
      第21回日本看護学教育学会・学術集会
    • 発表場所
      大宮ソニックシティ
    • 年月日
      2011年8月30日、31日

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公開日: 2013-07-10  

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