研究課題/領域番号 |
23593177
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研究機関 | 福岡県立大学 |
研究代表者 |
杉野 浩幸 福岡県立大学, 看護学部, 准教授 (90258434)
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キーワード | 細菌学実験 |
研究概要 |
簡便で効果的な細菌学演習について、その一部をホームページにおいて公開したところ、卒業研究に利用したい旨の申し出を受け、A教員(K大学看護学部・助教、および看護学部4年次学生)に対して指導を行った(12回、1回1時間程度)。小児の手指に付着した細菌数の手洗い前後における変化を実際に提示することで、手洗いの重要性を小児、および保護者に周知させる内容を設定し、実施した。実験では培地などの消耗品の購入から保管、持ち運び、培養方法、培養プレート提示の際の注意事項、滅菌、廃棄方法までを詳細に指導した。一連の実験指導において、A教員の指導および実験スキルを把握することで、看護学部教員が細菌学実験を行う際に障壁となるポイントを把握することができた。 また、引き続き、量的研究および実験研究に関する情報収集を目的として、メディカ出版(新大阪)およびへるす出版(東京、中野)における看護系情報誌の編集長および編集担当者との情報交換を行った。昨年同様、量的研究が苦手であるため、質的研究を中心に活動を展開するケースが増えている現状が続いていること、また、看護師が患者や外部施設等において感染防止教育を行う際の「素材」が準備できず苦労している実態を把握することができた。自ら実験を行うことができないため、手洗い前後の手指に付着した細菌の写真でさえ入手困難であるとのことで、実験の指導とともに、このような写真画像など、教育に活用できる資料を望んでいることも明らかとなり、メディカ出版との共同で取り組みを検討中である。 実験指導、実験方法の提供もさることながら、教育等にすぐに利用できる資料を必要としている現状を把握している研究者は少なく、今年度は、このような極めて重要な情報を得ることができ、さらに実際の実験指導も行うことで看護師の実験能力の限界等についても十分に把握することができるなど多くの成果を上げることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細菌学演習マニュアルの一部を公開し、これを閲覧した看護系大学教員の申し出により直接実験指導を行うことができた。これにより、看護系大学教員の実験能力、実験研究の障壁となっているポイントについてより深く考察することができた。また、指導した教員の実験スキルの顕著な向上も見られ、今後の量的研究への意欲を増す高い効果があった。 また、全国の看護系大学との交流がある大手出版社(メディカ出版、へるす出版)の編集担当者との意見交換を行うことで、再度、量的研究を中心とした原著論文の執筆数が減少していること、また、感染対策教育を行う上での写真素材などが著作権の問題により入手困難であることも把握した。メディカ出版からは、細菌学演習に利用できるスマートホンの利用について記事を掲載していただき、今後の連携して素材の提供について検討していくことになっている。 このように、予定されていた内容に加え、新たな内容を加えた取り組み内容となっており、最終年度に向けてより充実した情報提供を行う体制を整えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
1)細菌学演習データベースの構築:これまでに収集、および新たに開発した実験方法についてデータベース化し、Web上で公開する。また、他教育機関と連携して開発した実験方法についても、著作権フリーとし、看護系教育機関の教員が自由にダウンロードして利用できるシステムを構築する。 2)感染看護教育において利用できる素材の配布を行う。また、その素材作成方法についても、実験方法やPCを利用した資料作成方法について指導を行う。 3)3年間の研究の総括を行うとともに、達成できなかった研究計画、および関連する内容で追加すべきと判断した研究について推進する。また、難易度が高いと考えられた実験項目についても教育、研究上の必要性を再考し、より簡便な演習内容として再構築をおこなう。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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