研究課題/領域番号 |
23593189
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研究機関 | 聖路加看護大学 |
研究代表者 |
大久保 暢子 聖路加看護大学, 看護学部, 准教授 (20327977)
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研究分担者 |
菱沼 典子 聖路加看護大学, 看護学部, 教授 (40103585)
中山 和弘 聖路加看護大学, 看護学部, 教授 (50222170)
鈴木 和代 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70419456)
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キーワード | 背面開放座位 / 脳卒中 / 脳血管障害 / 意識障害 / 看護技術 / 廃用症候群 / 普及 |
研究概要 |
本研究は、脳卒中患者に効果がある背面開放座位ケアプログラムを医療施設に普及・定着させるため、そのための看護師支援ツールの開発・評価を目的としている。本年度は、4年計画の2年目として、昨年の研究実施内容を継続し順調に進んでいる。 昨年(初年度)に、分担・連携研究者との会議により、プログラム定着を拒む要因の明確化を質問紙調査で行う当初の計画をインタビューに変更し、各医療施設を対象にインタビュー調査を実施した(計2医療施設、看護師計10名)。 本年度は、そのインタビュー調査結果の分析を進め、普及専門家からのアドバイスを得た上で、定着の阻害要因を確定した。分析は、施設で組織規模、導入の背景、プログラムの指導方法・頻度等が異なることから、施設毎に分析することとなり、施設毎に定着の阻害要因を明確化、課題検討を行った。阻害要因は、<本プログラム継続を促進するリーダー・人材の不足><スタッフ教育のための教材不足><医師やスタッフの変化への抵抗><プログラムに関する技術、判断力の不足><多忙な臨床状況><長期的な効果を実感できない>にまとめられた。今後、他医療施設を増やし、共通性を見出す予定である。 更に本年度は、プログラム導入希望の医療施設において、アクションリサーチの手法を取り、インタビューから導いた普及の阻害要因を考慮した導入方法を2医療施設に実施し、現在もデータ収集及び実施を続けている。加えて、他医療施設2施設が、新たに次年度(3年目)から参加予定となっており、これらも含めて次年度中(3年目)にデータ分析を行い、結果をまとめる予定である。 上記のインタビュー調査、アクションリサーチの結果をまとめ、その結果を基に、最終年度(4年目)、普及・定着を促す看護師支援ツールとして定型化し、介入と評価をする計画としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年は、やや研究の進行が遅延していたが、本年度は、その反省を踏まえ、早期からの計画実行を行い、順調に進めることが出来た「研究実績の概要参照」。しかし、次年度からデータ収集の更なる蓄積と収集したデータの分析が予定されていることから、再び研究が計画通りに進まず遅延する可能性がある。そのため、「今後の研究推進方策」に記した通り、研究協力者を増員し、進めていく計画としている。
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今後の研究の推進方策 |
研究を今後も推進していくには、インタビュー調査及びアクションリサーチの研究補助員が必要であることから、次年度より研究協力者を1名増員することとしている。既に契約も研究協力者と交わしている。さらに普及専門家を数名にし、多側面からの普及に関する分析の助言を得ることと、外国の専門家も招いて助言を得る予定としている。 最終年度(4年目)に普及・定着を促す看護師支援ツールの作成と介入を行うためには、本年度(3年目)でインタビュー調査とアクションリサーチの結果をまとめることが重要課題であるため、主任研究者等の分析の時間を確保するために、データ収集者の役割を担う研究協力者が第一に必要と考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、研究遂行のソフト面に費用が必要である。詳細は以下のとおりである。 (1)旅費:プログラム導入中の医療施設2施設と導入予定の2医療施設に対して研究説明やデータ収集、医療施設までの旅費が必要である。また、各医療施設でのインタビューを行う際の医療施設までの旅費も同様に必要となる。(2)業者委託費:インタビュー内容のテープ起こし費用。(3)謝金:アクションリサーチ研究のデータ収集を行う研究協力者も雇用する。ほかに、データ資料の整理補助のための人件費も必要である。またインタビューアーを雇用をすることで、インタビューデータへの偏りを防止する。(4)会議費:分担研究者、連携研究者との会議のための費用、次年度プログラム導入予定の2医療施設との会議費用。(5)備品費・消耗品費:プログラム導入予定の2医療施設に対して背面開放座位保持具を各1台提供する。データ収集に必要な文房具を購入する。(6)その他:研究説明の資料などの印刷費、研究資料の郵送料、(7)専門的知識の提供料:諸外国で、看護技術を臨床現場で普及させるための戦略を開発している看護研究者を招聘し、知識と助言を得る予定である。 次年度は研究協力者を増員し、研究を計画通りに進める予定であるので、研究費は予定通り消費する可能性が高い。しかし何らかの原因によって、残額が生じた場合は、次々年度に繰り越すことも視野に入れている。残額が生じる可能性としては、協力施設の研究倫理審査の承認時期が遅延する、研究協力者が途中で協力できなくなることが考えられる。従って、それらの問題が生じないよう、その点に関して、次年度早々から対策を取っていく予定である。
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