研究実績の概要 |
①脳卒中背面開放座位ケアプログラムを導入してきた7医療施設の計8病棟の,普及の過程,普及の促進/阻害因子を検討した.②平成23~27年成果を踏まえ,プログラム導入の普及過程モデルを作成した. 研究①:4施設がプログラムを継続、3施設が中断していた。認定看護師と専門看護師がリーダーとなり,コアナース育成を図る,電子チャートにケア項目として取入れる,導入しやすいようにプログラムをアレンジする,医師の指示待ちで離床が遅くならない,ギャッヂアップよりも効果があるといった相対優位性,背面開放座位だけ使える,分けて使えるという試行可能性,車椅子と使い分けが出来るといった両立可能性が高いことが促進因子であった.プログラムを組織的取組みとして位置付けておらず,意欲のあるナースが取り組む環境,リーダーナースの病棟異動,スタッフナースの知識/技術不足による新人ナースへの指導困難,効果が実感できないと言う観察可能性の低さ,難しく感じるという複雑性の高さが阻害因子であった. 研究②:促進因子は,導入を指導した開発者がチェンジ・エージェントとして効果的に機能したこと,中心となって実践したオピニオンリーダーの活動,看護管理者/医師をはじめとする多職種/家族の協力,病棟の文化,高い相対的優位性,試行可能性であった.阻害因子は,看護師の異動や退職,採用拒否者の存在,教材の不足,複雑性の高さ,観察可能性の低さ,オピニオンリーダーに向けた教育プログラム作成の必要性や,異動に左右されず縦断的に活動できる看護師を活用することの必要性も示唆された。これらの促進/阻害要因の多さ,強さによって,導入/実施継続,中断が起こると推測した(図1).実施継続が順調であれば、プログラムの重要なケア要素は保持されながら,より定着に向けて,病棟に適したプログラム内容に変化/発展し(図2)、それなくして,組織への普及,定着はないと推測できた.
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