研究課題
本年度は車椅子移乗動作の被介助動作と被介助者の自立した(自然な)車椅子移乗動作を、キネクトセンサを使用しデータ収集を行った。本フェーズは、本研究の研究課題である「看護技術における模範動作は介助を受ける側の自然な動作にある」という仮説を検証するものである。被介助動作は健常者5名を対象者とし、4名の看護師免許保持者が総当たり方式で車椅子移乗介助動作を行った。データの分析により、被介助動作と自然な動作では腰部の移動量では近似していたが、頭部の移動量および移動方向は異なっていた。被介助動作での頭部の動きについて、被介助時には介助者が被介助者の前方にあり、自然な動作と比較して動作自体が制限されていたことによるものと考えられる。本研究の当初計画では、キネクトセンサではなく加速度センサを用いる予定であった。しかし、平成23年度の実験において加速度センサから得られるデータが本研究の研究課題を明らかにする精度がないことが判明した。具体的には、加速度センサは小型で介助者及び被介助者の動作を妨げることがないという利点がある反面、短時間で移動量の少ない動作が多い看護技術においては正確な移動量の測定が困難であった。この結果をもとに新しいデバイスとしてキネクトセンサを選定した。キネクトセンサは、センシングする対象が人影や物陰に隠れた際にセンシング対象を見失ってしまい正確な測定が出来ないという欠点があった。そこで、平成24年度にこれを補正する技術を確立した。具体的には、センシングしたい対象者の頭部、両肩、腰部にカラーマーカーを装着し、キネクトセンサによってその移動量を計測するものである。この技術を平成25年度のデータ測定に活用し、キネクトセンサ単独での測定よりもより精度の高いデータを得ることができた。以上より、看護技術における模範動作は腰部の動きに関しては自然な動作と近似することが明らかになった。
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Digital Human Modeling and Applications in Health, Safety, Ergonomics, and Risk Management.
巻: 2 ページ: 111-116
10.1007/978-3-642-39182-8_13