(1)看護学・心理学関連の学会での発表と投稿論文作成(2)看護学教育に効果的に闘病記を活用するための実践の継続(3)ナラティブ教材になり得る良質な闘病記のテキストマイニング分析を計画した。(1)では、『看護研究』(医学書院)掲載の2件の論文において、テキストマイニングの手法による統合失調症闘病記の分析と精神看護学教育におけるナラティブ教材活用の意義を論じた。『日本精神保健看護学会誌』掲載の1件の論文は、実際に精神看護学授業において、ナラティブ教材を用いた教育実践の効果をテキストマイニングにより確認した研究成果である。これらは同時に(2)の成果である。(3)は、具体的にナラティブ教材になり得る闘病記の分析を行い学会発表した。日本心理学会において「統合失調症闘病記の書名のテキストマイニング」のテーマで、日本看護科学学会においては「『こころの病を生きる:統合失調症患者と精神科医師の往復書簡』の当事者と医者の語りのテキストマイニング」のテーマで発表を行った。 研究代表者は日本心理学会では本研究の成果の一部を小講演において紹介し、日本看護学研究学会交流集会と日本看護科学学会交流セッションにおいては本研究の成果の一部を報告した。分担研究者はNHKの取材に応じ、教育番組 「ハートネットTV」の「福マガ5月号」(2013年5月29日放送)に出演し、闘病記などのナラティブ教材を用いた教育実践の意義について述べた。 昨年度、『心理科学』掲載の論文の217冊の統合失調症闘病記リストは、研究者など関心のある人に配布することで貴重な資料提供ができた。最終年度にあたり、学会での報告や論文の出版を通して研究成果を出すことができたと考えている。以上のことから本研究成果は、看護学教育という限られた場での活用だけでなく、分野を超え、当事者・研究者の立場も超えて、広く社会や国民にも発信できたと言える。
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