研究課題/領域番号 |
23593202
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研究機関 | 甲南女子大学 |
研究代表者 |
前川 幸子 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (30325724)
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研究分担者 |
脇坂 豊美 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 講師 (50315321)
服部 容子 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 准教授 (20337116)
城宝 環 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 助教 (50638533)
阿部 朋子 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 助手 (60512340)
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キーワード | 看護技術教育 / 看護技術 / 学習モデル / 教育評価 |
研究概要 |
これまで看護学生の看護実践能力を高めるために、先行研究で『基礎看護技術学習の道しるべモデル』を構築し、さらにモデルに基づく教育実践の中間評価を行った。そして今年度は、2年間かけて実践した教育の成果を、学生の「看護実践能力の習得状況」と「看護実践への関心」の観点から最終評価し、本モデルを活用した基礎看護技術教育の効果と課題の示唆を得ることとした。 基礎看護技術教育を履修した看護学生を対象とし、「看護実践能力の習得状況」については、「看護技術習得状況に関する学生の主観的評価アンケート」および 「実践能力確認テスト評価結果」から、「看護実践への関心」については「看護実践への関心に関するアンケート」よりデータ収集を行った。その結果、学生は2年間の技術学習で対象者に技術を提供する基本的姿勢とケアの流れを獲得できている一方で、日常生活援助技術における安全安楽な技術の実施に課題を感じていることが示された。また、原理原則に基づき、安全安楽に配慮した技術の実践に課題があることが示された。看護実践への関心については、学習が進むにつれて深まっていくことが示された。 以上のことから、本モデルを活用した技術教育では、看護実践への関心は高く維持され、対象者理解についてもモデルで目指すレベルへ到達できているものの、原理原則に基づく実施や安全安楽への配慮という看護技術のコアの習得に課題があり、モデルに即した教授方法を検討し、習得水準を高められるよう改良する必要があると考えらえた。 他大学の協働・連携において、平成24年度は看護技術の実技テストにおいて、同じ評価票を用いたプレテストを実施した。その結果、大学の設置主体および教育理念等の相違、および各大学における教育の特徴の違いがあっても、本モデルにおける学習を進めることで、ある一定の学習効果がある手応えを得た。平成25年度はその明文化が課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記に記載した評価方法の一つとして、参加観察に基づくモデルの検証を行うことを計画していた。しかし、各大学のカリキュラム進度が同じ時期に行われていることから、相互の授業において参加観察を行うことができなかった。平成25年度も日程調整は難しいため、それを補う方法として、ビデオ撮影したものデータとし、評価を行って行くことにする。 また、「道しるべモデル」を有効に活用・実践していくための効果的な教育方法について検討するために、全体的な傾向を把握する(アンケート)だけでなく、新たに、看護技術学習における学生の個別的な経験を語ってもらう(グループインタビューの実施)という方法を取り入れた。より具体的で繊細な情報収集が可能となっており、現在、データを収集・分析途中にある。
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今後の研究の推進方策 |
1)平成24年度に実施した「道しるべモデル」の評価をもとに、再度検討を行いながらモデルの修正を行って行く。それをもとに、平成25年度は、看護実践能力を育む効果的な教育方法の働きかけについて検討していく。 2)他大学との連携における評価を行うことで、本モデルの信用性や汎用性について検討を行い、その可能性を見出す。 3)一連の検証過程をもとに、「道しるべモデル」を再開発するとともに、それを有効に活用・実践していくための効果的な教育方法について検討する。 4)全研究過程におよび成果を報告書としてまとめ、学会および学会誌への投稿により、今後の研究にむけた発展を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
「道しるべモデル」を協働的に取り組んでいる大学研究者と協議をするための旅費・宿泊費、会議費などの必要経費。 データ集計の外注費、画像データを収集するため、録画機能付きパソコン(i-Padなど)、および、画像分析に必要なパソコンメモリーの増量費。 学会発表および論文投稿における必要経費、および論文の製本代および郵送代など。
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