研究課題/領域番号 |
23593207
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研究機関 | 山陽学園大学 |
研究代表者 |
林 由佳 山陽学園大学, 看護学部, 講師 (20553978)
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研究分担者 |
千田 好子 山陽学園大学, 看護学部, 教授 (10216559)
齋藤 信也 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (10335599)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国際情報交流 |
研究概要 |
急性期施設以外の慢性期病棟、介護施設、在宅等での創傷のケアにおいて、SSI(手術部位感染) 制御の視点から、ケアに当たる者、特に非看護職の介護職や家族が行うその実態とケアのレベルを把握することを目的に質問紙による調査を実施。我々の行ったA県内訪問看護ステーションや老人保健施設調査と比較し検討するため、まず、A県内の医療型療養施設を調査。回答率34.9%。創傷ケアは、全ての施設で看護職が実施しており、介護職も一緒に行う施設が33.3%あり、介護職のみで行う施設はなかった。またほとんどの創傷ケアは、看護師は、医師と連絡・相談の上実施され、看護職と介護職が連携・協力して実施していた。しかし介護職の介入度は、約3割と在宅ケアにおける家族の関与や、老人保健施設の介護職に比べて低かった。また、看護職が介護職に対して、褥瘡、胃瘻、気管切開、表皮剥離の創傷ケアに関してのアセスメントを依頼する場面が多く、創傷ケアにおける看護職と介護職との関係は、急性期ケア施設における医師と看護師の関係に似ていた。続いて、創傷ケアマニュアルの作成の指標を得るため、全国の非急性期施設を対象に、研究の方法は、質問紙調査(郵送留め置き法)。本研究の対象者は、研究への参加に同意が得られた全国の訪問看護ステーション1000施設(無作為抽出)、老人健康保健施設400(無作為抽出)、質問紙調査は(1)対象の施設背景、看護職者の数・構成・経験年数、(2)創傷管理・ケアについて:(1)創感染(SSI)アセスメント内容:発熱、創の炎症、浸出液の量・性状、膿の有無と量・性状など(2)創傷ケアの方法(消毒、洗浄、ドレッシング材、軟膏等)を実施。A県内の結果を踏まえ、全国結果を比較した結果、全国的にも、今後は、創傷ケアに関して、看護職と介護職に共通の創傷アセスメントツールを開発することにより、ケアレベルの水準を保つ必要が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
全国調査前に、当初予定の訪問看護ステーション、老人保健施設、医療型介護施設についての調査の対象の再検討を行った。訪問看護ステーション及び老人保健施設については過去にA県内行っていたので、今回は医療型療養施設の調査の妥当性を図るため、A県内の医療型介護施設の調査を実施した。そして結果をA県内の訪問看護ステーションと老健施設と比較し、家族・介護者の創傷ケアの関与の程度を確認した。介護職の介入度は、約3割と在宅ケアにおける家族の関与並びに、老人保健施設の介護職に比べて低かったことから、全国調査の対象を訪問看護ステーションおよび老健施設にし設定し直した。調査対象数を訪問ステーション500施設から100施設、老健施設200から400増やした。結果、調査の時期が遅れ、当初予定の半期遅れとなった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度前半期に全国調査分析、並行して前半期にA県内の訪問ステーション、老人保健施設の創傷ケアの観察調査及び細菌学的調査の依頼と実施。後半には調査数の調整のため追加調査。10月以降には当初計画の創傷ケアマニュアルの作成をする。研究補助者(アルバイト)を複数名依頼し、また同意の得られた地域医療の推進を図る医師・看護師の協力を得る。
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次年度の研究費の使用計画 |
創傷部の感染状況の確認を行い、創傷ケアマニュアルの評価の指標を細菌学的な試料と合わせて調査する。訪問調査。A県内の訪問看護ステーション、ヘルパーステーション、老人保健施設、介護型療養施設のうち研究協力の得られた20施設を対象とし、各施設、1週間程度、創傷ケア内容の参加観察を行う。参加観察の際は、デジタルカメラを使用し、創傷を可視化させ、共通認識が得られるようにする。同時に創傷から検体を採取(同一対象患者から複数箇所)し、細菌学的検査を行う。検出された細菌と、創の肉眼的所見、熱感、臭い等との関連性を分析する。非看護職でも把握可能な創の状態と細菌学的検査の情報を総合し、分析を行う。(林、齋藤)24年度後半には、ここまでに得られた結果をもとに、非急性期施設でよく見られる創傷である気管切開部、PEG挿入部、褥瘡のアセスメントツールα版を開発する。(林・千田)細菌学的検査については、急性期医療施設での創傷感染の起炎菌と比較検討も行う。この時点で、研究部分に関する成果を学会等で発表し、批判を仰ぐ。
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