研究課題/領域番号 |
23593207
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研究機関 | 山陽学園大学 |
研究代表者 |
林 由佳 山陽学園大学, 看護学部, 准教授 (20553978)
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研究分担者 |
千田 好子 山陽学園大学, 看護学部, 教授 (10216559)
齋藤 信也 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (10335599)
橘 侑里 山陽学園大学, 看護学部, 助手 (40639126)
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キーワード | 在宅看護 / 創傷ケア / 感染看護 / 非急性期ケア / 個人防護用具 / 褥瘡 |
研究概要 |
昨年度までの調査から、褥瘡に関してのケア内容の多様性が調査内容の一部から読み取れた。そこで褥瘡に関して創傷ケアのスタンダード調査を実施。無作為抽出した訪問看護ステーション1000施設に各ステーションでの褥瘡ケアの対象割合、ステージIII、ステージIIIIVそれぞれの洗浄方法・消毒方法、およびドレッシング剤の使用について調査。 褥瘡部ケアにおいて、一部ではあるが消毒が行われていたことから、創傷ケアマニュアルと褥瘡部(IIIIV)の消毒において有意水準α=0.05にてχ2検定を行ったところ、有意差は認められなかった。したがって、創傷ケアマニュアル、あるいはそれに類したもの有無により、褥瘡部の消毒の実施状況に差があるとは言えなかった。 創傷ケアに関しては、医師と看護師で判断し主治医が指示を出すことが多く(56.9%)、主治医に関しては相談相手ではあるが、主治医との方針があわず、困惑している看護師の意見が多かった。 また感染対策の責任者が78.7%の施設におり、訪問先では流水・石けんで手洗いを行い、洗った手は持参したハンドタオルやハンカチを2~3か所で共有することが多かった。また創傷ケア時にエプロンを使用していない施設は37.1%であった。創部洗浄時のエプロン使用についてとステーションの感染対策の責任者において有意水準α=0.05にてχ2検定を行ったところ、有意差は認められなかった。 創傷処置時の手袋の使用については、必ず使用する施設が90.4%あったが、時々使用する場合が9.6%あり、すべての施設が創傷ケアで手袋を使用するわけではないことが分かった。 また、エプロンを装着してのケアに関して細菌学的調査を行ったところ、エプロンをつけていないユニホームにMRSAの検出を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全国調査において、褥瘡や胃瘻に関しては看護師は研修会や文献などから情報を得ており、創傷ケア内容に関しては十分な知識を持って行えていることが分かった。 しかし、感染対策については、ステーションでの感染対策については、感染対策の責任者が78.7%の施設におり、訪問先で76.1%が流水・石けんで手洗いを行っていたが、手をふくものとして、持参したハンドタオルやハンカチを2~3か所共有することが多かった(49.7%)。また、創傷ケア時の手袋装着は、必ず使用する施設が90.4%あったが、エプロンの使用については、いつも使用しているが39.4%であり、使用していない施設が37.1%であった。さらに訪問看護師の着用しているユニフォームからMRSAが検出された。マニュアル作成によって創傷の治癒を進めることを目的に行ってきた研究であったが、訪問看護おける感染対策を進めることが創傷ケアの一義的な要因と考え、マニュアルの再検討を行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
全国調査及び細菌検出の結果をもとに、非急性期における創傷の治癒促進を図るため、調査のフィードバック、および、在宅看護や老健施設に合わせた創傷ケアおよび感染管理についてのマニュアル作成・送付を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
非急性期施設の創傷から耐性菌の細菌検出があり、感染管理の徹底も課題であることが示唆された。そこで、当初計画の創傷ケアマニュアルと並行し、今年度は創傷ケアおよび感染対策についての全国調査を行った。その結果、エプロンについての着用が少なく、さらに訪問看護でのユニフォームにMRSAが検出された。そこで、訪問看護での感染対策を含めた創傷ケアのマニュアル作成が必要であると考えたため。 創傷ケアの全国調査結果のさらなる分析と訪問看護におけるユニフォームの細菌検出をもとに作成した感染感染対策を含む創傷ケアマニュアルの送付。および今後の創傷ケア・感染看護の課題を見出す調査の実施。
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