研究課題/領域番号 |
23593208
|
研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
濱井 和子 広島国際大学, 看護学部, 准教授 (80461325)
|
研究分担者 |
俵 由美子 広島国際大学, 看護学部, 講師 (00320060)
松本 睦子 広島国際大学, 看護学部, 准教授 (90263706)
島谷 智彦 広島国際大学, 看護学部, 教授 (80325191)
川村 尚也 大阪市立大学, 経営学研究科, 准教授 (80268515)
|
キーワード | モチベーション / 組織特性 / キャリア / 人的資源 / 看護管理 |
研究概要 |
医療機関において最多の人員を擁する看護部門にとって、看護師を適切に動機づけて経営目標に貢献することは重要な課題である。その場合、看護部が行うモチベーション・マネジメントに影響を与えると考えられるのが看護管理者の「モチベーションについての持論(モチベーション・セオリー)」である。本研究は、看護管理者のモチベーション・セオリーについて、組織特性と看護管理者のキャリアに着目してその特徴を明らかにするとともに、経営目標に直接的に貢献しうる看護管理者養成のための教育研修のあり方を検討することを目的とする。 本年度は、平成23年度に実施した聞き取り調査の詳細な分析を行い、組織特性ごとのモチベーション・セオリーの傾向を導出した。これを医療コンサルタント、病院経営者、看護管理者、経営学者らが参加する研究会で提示し、白熱した議論を通じて有益かつ新たな知見を得ることができた。この過程で得た成果の一部を第14回日本医療マネジメント学会で報告し、参加者から研究上有意義な示唆を多数得た。また、これらの示唆をもとに再検討したものを論文にまとめ、広島国際大学看護学ジャーナル第10巻第1号で発表した。 さらに、ここまでの成果をもとに質問票を設計した。平成23年度に聞き取り調査を実施した病院と先述した研究会に参加する看護部長の協力を得てプレテストを行い、必要な改訂を行った後、中国地方の全病院686施設に配布した。このうち240施設から回答を得ており、目標とする回収率をほぼ達成した。現在、分析を進めているところである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.本年度は、質問票調査の実施と結果の分析、および、モチベーション・セオリーの特徴の描出を予定していた。当初の計画では、広島県下の全病院に調査票を配布した後、回収状況をみて調査範囲を拡大することとしていた。しかし、調査票発送前に改めて検討を加えた結果、調査の精度を確保するためには、初期より調査対象を中国地方全病院にするほうが妥当であるとの見解に至った。調査票配布数が増加した分、印刷費・郵送費・データ入力費等が嵩む結果となった。そのため、本年度に予定していた、調査結果の詳細分析のための統計ソフトの購入ができなかった。 2.平成23年度に実施した聞き取り調査の分析を、かなり詳細かつ慎重に行ったため時間を要した。その分、質問票の設計・調査の実施の時期が遅くなり、結果分析の時間を確保できなかった。 3.平成24年度より、「災害・救急看護論」「災害・救急看護論実習」を新たに担当することになった。その準備、講義・講義演習の実施、実習指導の担務により、当初の予想よりも研究時間を確保するのが困難であった。
|
今後の研究の推進方策 |
2013年度は、組織特性ごと、キャリアごとのモチベーション・セオリーの特徴を明示するとともに、それぞれに応じた教育研修のあり方を検討する。 1.統計的手法を用いて分析し、モチベーション・セオリーの構成要素の得点傾向と組織特性、看護管理者のキャリアとの関係を検討する。また、各構成要素間の関係性の検討も併せて行う。 2.得られた特徴を、Latham.Gの「ワークモティベーションの統合モデル」と比較し、看護職の、モチベーション・セオリーの特徴的傾向を把握する。 3.医療機関で活動する多様な職種の協働に向けて先進的取り組みをしている研究機関、医療実践組織の活動を観察し、看護管理者教育のあり方に関する示唆を得る。 4.研究成果を学会等で報告する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
1.物品費:詳細な分析をおこなうための統計解析ソフトを購入に充てる。 2.旅費:研究代表者・分担者によるデータ分析結果の検討会議への参加、マネジャー教育の先進的取り組みの実地調査、研究成果の報告のための学会参加に使用する。 3.その他の費用:研究成果報告のためのプレゼンテーション材料の材料費、検討会議の資料等の消耗品購入、質問票調査に協力いただいた病院のうち、調査結果を希望する病院に送付する研究報告書の製本費用に充てる。
|