研究課題/領域番号 |
23593209
|
研究機関 | 四国大学 |
研究代表者 |
稲田 久美子 四国大学, 看護学部, 教授 (00446064)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 看護組織 / 組織文化 / 変革プロセス / モデル構築 |
研究概要 |
1.1総合病院の看護組織を対象にアクションリサーチを用いて、看護管理者と一緒に組織に変革を促し、そのプロセスを記述、分析する。1か月に1回程度、対象病院の看護部長、看護師長達と一緒に会議を持ち、平成22年度に作成したビジョンと目標を実現するための計画立案と実践をサポートした。会議の内容はボイスレコーダーに集録し、逐語録にして分析し、次の会議に活かした。その結果、平成24年3月には、2つの目標のうち1つが達成された。2.「看護師長の役割」の構成概念を明らかにする。平成22年度までに行った看護師長29人のフォーカス・グループ・インタビューのデータをもとに調査項目を作成し、平成23年5月~7月、5人の看護管理者からレビューを受けて洗練化した。そして、10月に300床以上の7総合病院の看護部長・副看護部長・看護師長を対象にプレテストを実施し、その結果をもとにさらに調査項目を洗練化し53項目とした。平成24年1月、全国の300床以上のうち同意の得られた181総合病院の看護部長・副看護部長・看護師長2,400名を対象に調査を行い、個別投函にて回収した。回収データ数は1,414、有効回答は1,214であった。得られたデータは統計ソフトSPSSを用いて分析し、記述統計量を求めるとともに、主因子法・プロマックス回転による因子分析、及び分散分析、t検定を行った。その結果、看護師長の役割として6因子が抽出され、これを構成概念とした。また、看護師長と看護部長・副看護部長間で「看護師長役割」に対する違いが認められ、「看護師長役割」に対する認識と行動との間の違いも認められた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1.に関しては、当初の予定通りに進行している。2.に関しては、当初予定よりも、対象病院を拡げた結果、調査の同意を得られた病院が50病院から181病院に増え、対象者数も1500名程度から2400名程度と増えた。その結果、当初予定よりも多くのデータ数が得られ、より綿密な解析ができ、組織変革に寄与する看護師長の役割とその関係性の結果を得られることとなった。
|
今後の研究の推進方策 |
1.1総合病院の看護組織を対象にアクションリサーチを用いて、看護管理者と一緒に組織に変革を促し、そのプロセスを記述、分析する。平成24年度も継続して、1か月に1回程度、対象病院の看護部長、看護師長達と一緒に会議を持ち、平成22年度に作成したビジョンと目標を実現するための計画立案と実践をサポートする予定である。会議の内容はボイスレコーダーに集録し、逐語録にして分析して、次の会議に活かし、目標の達成、すなわち組織のさらなる変革を目指す。そして、3年間の会議録及び平成23年2月に行った面接データを質的・帰納的に分析し、「組織の変革のプロセス」を抽出する。さらには、調査用紙を作成し、平成25年1月~2月に対象病院の看護職を対象に調査を行い、アクションの効果を検証する。2.「看護師長の役割」の関連性の分析とリーダーシップの抽出平成23年度の調査で得られたデータをさらに詳細に分析するとともに、そうした役割を行うにあたって必要とされるリーダーシップを、連携研究者とともに抽出し、質問項目を作成する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
1.物品費:統計ソフトSPSS 「Statistics Base」と「Advanced Statistics」20.0を購入し、平成24年1月の調査で得られたデータをさらに詳細に分析するために用いる。2.旅費:対象病院での月に1回の会議、及び広島の連携研究者との3か月に1回の会議のための旅費(徳島-広島)研究成果発表のための学会参加費と旅費。3.人件費・謝金:対象病院や研究協力者に対する謝礼。ボイスレコーダーに録音したデータを逐語録にするための人件費、など。
|