1.1総合病院の看護組織を対象にしたアクションリサーチ 対象病院看護管理者(看護部長・看護師長)と一緒に、アクションリサーチの計画に沿って実践を行い、2か月に1回程度の会議を持った。会議は全てボイスレコーダーに録音し逐語録にして、その都度フィードバックした。そして、平成25年11月~26年2月までの間に、結果評価のための調査を行った。調査は、①主任、チームリーダー、看護師長、それぞれを対象にしたフォーカス・グループ・インタビュー(4グループ)、②2病棟を対象にしたフィールド調査(2日間)、③就職して3年目以上の看護職86名を対象に「看護組織における組織文化の測定尺度」を用いた量的調査を行った。そして①②③の結果を、アクションリサーチ開始前の平成20年に行った調査結果と比較検討するとともに、4年間の25回の会議録から経緯を分析した。「看護組織における組織文化の測定尺度」を用いた調査結果をアクションリサーチの前とt検定で比較検定をしたところ、1項目を除いて有意差がみられなかった。アクションリサーチによって看護師長達のチームエンパワメントは上昇したが、主任・スタッフまで変化を与えることができなかったと考察された。 2.日本とニュージーランドの文化・ヘルスケアシステム・看護教育・看護職の比較 平成25年7月~9月にオークランド工科大学(AUT)にゲストリサーチャーとして滞在し、ニュージーランドの文化・医療制度・看護教育・看護職の特徴について情報を収集した。ニュージーランドは日本とは異なる価値観や生活習慣(文化特性)を持ち、教育方法が異なり、それゆえ看護職の特徴が異なっていることを窺い知ることができた。このことから、日本の看護組織の組織文化特性や問題の背景には、日本特有の文化特性や教育が影響していることが考察された。
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