研究課題/領域番号 |
23593213
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
松本 智晴 大阪府立大学, 看護学部, 助教 (80540781)
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研究分担者 |
宇都 由美子 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (50223582)
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キーワード | 看護ケア量 / DPC / 患者特性 |
研究概要 |
平成23年度に構築したデータベースを使用し、看護ケア量に影響を及ぼす患者特性について分析を進めた。先行研究では、各DPCにおいて看護ケア量と相関を認めた患者の特性を表す変数(看護度や自由度、輸送区分など)を用いて階層的クラスタ分析を行い、患者をグループ化することにより患者の特性を分析した。本研究においても同様に分析し、先行研究の結果と比較し、分析手法において問題がないことを確認した。さらに本研究では、日本版Nursing Minimum Data Set(NMDS)を活用し、患者の特性に応じた看護ケア量を分析するにあたって、一般化するために決定木による分析手法を加えた。その結果、DPCコード040040(以下、肺の悪性腫瘍)では、まず、患者は手術の有無で分類され、次に、手術以外の治療患者のみが患者のADLで分類され、さらにADLに部分介助を要する患者が看護度によって分類された。したがって、肺の悪性腫瘍の患者特性は4つのタイプで表すことができた。看護ケア量に影響を及ぼす患者特性として、患者のADLが低いほど看護ケア量を多く必要とすることや、手術以外の治療でADLに全介助を必要とする患者と手術を受けた患者の看護ケア量は同等であること、入院期間中の看護度Aの日数が極端に長い患者は最も多くの看護ケア量を必要とすることがわかった。その他のDPCの患者特性においても同様に分析を行った。 本研究の目的は、日本版NMDSの開発・実装し、その実効性と応用範囲に検討を加えることであった。そのため、日本版NMDSを用い、DPCごとに患者特性の分類を行うことによって看護ケア量を可視化した。そして、看護ケアの均てん化を実現するための看護ケア量の科学的な評価手法の提案を行った。今後、検討を重ねることにより、DPCの精緻化につながる看護ケアの必要度に基づいた提言が可能であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度までに日本版NMDSの開発・実装し、その実効性と応用範囲について検討を行った。その結果、患者の特性に応じて看護資源を適正配分する、つまり看護ケアの均てん化を行うためのマネジメントツールとして期待できることを確認した。したがって、本研究であげた2つの目的、1)DPCにおける患者要因を加味した日本版NMDSの開発・実装すること、2)日本版NMDSの実効性と応用範囲について検討を加えることは達成できた。 しかし、日本版NMDSの妥当性の検証については、病院情報システムが進んでいる他の医療機関の協力を依頼している段階であり、まだ未達成である。これまでの結果と他の医療機関での分析結果の比較・検討を行うにあたって、鹿児島大学病院の看護システムに登録された看護行為名称のマスタテーブルにある約260個の看護行為名称と、ICNP(International Classification for Nursing Practice)の統一看護用語システムの7軸モデルとのクロスマッピングについては終了した。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、日本版NMDSの妥当性の検証をさらに進める。病院情報システムが進んでいる他の医療機関の協力を得、日本版NMDSを実装し、先行研究の結果と比較・検討を行うことによりさらに妥当性を検証していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究費は、日本版NMDSの妥当性の検証におけるデータ収集のための旅費や、これまでの研究成果の発表のために使用する。
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