平成25年度は、看護ケアの均てん化を実現するための看護ケア量の科学的な評価手法としての日本版Nursing Minimum Data Set(以下、日本版NMDS)の開発および海外のNMDSとの比較を行った。 看護ケア量の科学的な評価手法としての日本版NMDSとは、①統計解析ソフトSPSSを用い、入院日数や入院期間中の看護度、自由度、輸送区分の日数と看護ケア量とのSpearmanの順位相関係数による相関分析を行う、②相関を認めた変数を用いてSPSSによる階層的クラスタ分析を行い、患者をグループ化する、③統計解析ソフトRのarulesライブラリのapriori にて支持度 0.1及び確信度0.8に設定してアソシエーション分析を行い、各クラスタの特徴となる変数を探索する、④発見した変数をSPSSの決定木に適応し、評価するものである。平成24年度までは決定木に適応する変数の決定において、客観的に抽出する手法に課題があった。しかし、本年度は統計解析ソフトRのaprioriを使用し、アソシエーション分析を行うことによりその問題は解決できた。 また、海外のNMDSに関する文献レビューを行い、日本版NMDSとの比較を行った。NMDSのデータを用いて看護診断などから患者に提供された看護ケアの内容を比較、検討しているが、国際的な比較においては文化による解釈の違いが課題であると述べていた。また、看護行為の業務量調査とNMDSの看護行為を比較した研究では、NMDSのデータは業務量調査の70%を包含していたと報告していた。本研究で開発した日本版NMDSは、看護記録に記載された看護行為全てを分析の対象とすること、aprioriによる変数の発見と一般化するために決定木に適応することにより、NMDSの課題を解決できるものと考えられた。
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