研究課題/領域番号 |
23593219
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
野戸 結花 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (80250629)
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キーワード | 看護学 / がん症状緩和 / リンパ浮腫 / 運動療法 |
研究概要 |
本研究はリンパ浮腫に対する複合的理学療法の「圧迫下での運動療法」の効果的なプログラムを開発し、効果を検証することを目的としている。平成24年度は上肢リンパ浮腫患者におけるリンパ還流促進を目指した効果的な「圧迫下での運動療法」プログラムを検討するために、リンパ浮腫用スリーブ着用時の運動によるスリーブと皮膚の接触圧の変化を測定し、接触圧の上昇に有効な運動の種類を明らかにした。 【方法】女性健常ボランティア20名に前腕4か所(前腕最大周囲径部位の外側、前面、内側、後面)、上腕8か所(肘関節から1/3、2/3部位周囲径部位上の外側、前面、内側、後面)、計12か所に直径2cmのエアパックを専用のカバーテープを用いて貼付しスリーブを着用した。座位で上肢を自然に伸ばした状態を基本姿勢として、肘関節90度屈曲、①手指伸展、②遠位・近位指節間関節屈曲、③掌握、④手関節掌屈、⑤手関節背屈、⑥肘関節屈曲、⑦肘関節伸展、⑧肩関節内旋、⑨肩関節外旋(④~⑨は被験者の他方の手で負荷を課す等尺性運動)の9種類の運動を行い、各部位の接触圧を測定した。測定にはAMI 3037-SB-hP(株式会社エイエムアイ・テクノ)を用いた。対象者には研究の趣旨等を説明し参加の同意を得た。なお、本研究は所属組織の倫理委員会の承認を得ている。 【結果・考察】①から⑨のいずれの運動においても、前腕後面を除くほぼ全ての測定部位で接触圧の有意な上昇がみられた。スリーブ着用時の関節運動を伴わない等尺性運動で接触圧は上昇したことから、リンパ還流促進効果があることが示唆された。また、前年度課題であった上腕内側及び後面の接触圧上昇に効果的な運動の種類が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年齢範囲を拡大した被験者の獲得に時間がかかり数は充分ではなかったが、データ収集はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の方針 目的:上肢リンパ浮腫発症患者のリンパ還流促進に効果的な運動プログラムの考案と検証 方法:①平成23年度、24年度の結果より、上肢の接触圧上昇に効果的な運動の種類を厳選、②上肢リンパ浮腫患者を対象とした運動効果の確認、③上肢リンパ浮腫発症患者のリンパ還流促進に効果的な運動プログラムの考案、④運動プログラム参加ボランティアへの介入と効果の検証
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の計画遂行に必要な経費を確保するために、成果発表旅費を別経費から拠出したため。平成25年度は消耗品の購入、研究成果公表のための学会参加旅費、研究協力者への謝金に使用する。
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