研究課題/領域番号 |
23593221
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
佐藤 正美 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (60279833)
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研究分担者 |
中村 美鈴 自治医科大学, 看護学部, 教授 (10320772)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | 直腸がん / 低位前方切除術 / 排便障害 / 術後障害 |
研究概要 |
本研究の目的は、直腸がん低位前方切除術など肛門括約筋温存術後患者を対象に、排便障害の軽減・改善さらにQOL向上を目的として「修正版看護支援プログラム」を実践し、その効果を検証することである。当該年度は、「骨盤底筋および肛門括約筋運動試案」を作成し、「修正版看護支援プログラム」を完成することと、介入を評価する測定用具について検討することを目的として活動した。 専門的な排便障害治療を多職種から成るチームで先駆的に進めている施設を訪問し、理学療法士、看護師、検査技師のチームアプローチを見学するとともに、骨盤底筋および肛門括約筋運動方法について意見交換した。その結果、肛門括約筋機能の簡便な評価方法、バイオフィードバックの具体的で効果的な方法、肛門括約筋運動の効果的な方法を見出すことができた。さらに、多職種が参加する専門学会において研究成果を発表するとともに、排便障害の軽減へ向けた治療方法・看護支援方法について積極的に意見交換を行った。その結果、今後共同で取り組むことのできる研究メンバーおよび研究施設を開拓することができたとともに、看護支援の方法として、認知行動学的アプローチの可能性について検討することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的は、直腸がん低位前方切除術など肛門括約筋温存術後患者を対象に、排便障害の軽減・改善さらにQOL向上を目的として「修正版看護支援プログラム」を実践し、その効果を検証することである。現在、「骨盤底筋および肛門括約筋運動試案」の骨子と「修正版看護支援プログラム」の方針が整理できた段階である。当初の予定では、「骨盤底筋および肛門括約筋運動試案」を試用し、それも含めて「修正版看護支援プログラム」を完成することであった。排便障害の予防や軽減のための骨盤底筋および肛門括約筋運動方法の専門的視座は、理学療法士と身体運動学の研究者から得られると考え計画したが、術後という特殊な状況であることや、実際に実践している理学療法士が極端に少ないことから、困難であった。腹圧性尿失禁予防のための骨盤底筋運動方法については書籍も多くあり、参考資料が豊富にあるが、排便障害を予防軽減するための骨盤底筋運動については、あまり議論されておらず、参考となる資料も限られていた。
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今後の研究の推進方策 |
具体的内容を精選させ「修正版看護支援プログラム」を完成させる。また、「修正版看護支援プログラム」が完成できたら、速やかにフィールドでの研究活動が進められるよう、共同研究が可能で研究フィールドとして協力可能な施設との調整を、研究分担者と共に進めていく。また、早急に「修正版看護支援プログラム」の方針に沿って具体的なプログラムを仕上げる。骨盤底筋および肛門括約筋運動については、可能であればスポーツトレーナーによる専門的意見を参考にして、方法をブラッシュアップしていきたい。 当初、直腸がんで(外)肛門括約筋温存術後患者を対象と考えていたが、外肛門括約筋を一部切除する手術が増加傾向にあり、今後もその傾向が続くと予測される。したがって、介入対象の枠を広げることが可能か検討をしていきたい。本研究を推進するために、積極的に学会発表に取り組んでいきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
「修正版看護支援プログラム」で推奨する運動(骨盤底筋および肛門括約筋運動)をサポートする器具と、動画作成に費用を使う予定である。また、看護支援プログラムの質を保証して実施できるよう、プログラム内容を分かりやすくまとめた冊子を作成する。フィールドでの研究活動実施に向けて、該当施設へ直接出向き具体的な打ち合わせを進める。 9月に開催される第17回国際がん看護学会(ICCN)学会では、特に介入効果をQOLの視点から分析した結果を発表する。そこで最終的にQOL評価視点および評価指標を検討する意見を得て、outcome指標を決定していく。
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