研究課題/領域番号 |
23593221
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
佐藤 正美 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (60279833)
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研究分担者 |
中村 美鈴 自治医科大学, 看護学部, 教授 (10320772)
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キーワード | 術後排便障害 / 低位前方切除術 / 内括約筋切除術 / 直腸がん |
研究概要 |
看護支援プログラムについて、複数の大腸肛門専門医および皮膚排泄ケア認定看護師、大腸肛門病専門病院の専任ナース、理学療法士とディスカッションを重ね、ブラッシュアップを進めた。それにより作成したプログラムを用いて、直腸がんで肛門括約筋温存術である低位前方切除術ならびに内括約筋切除術後患者を対象として、退院前の術後早期より関わりを開始し、外来診察日に継続して排便障害の実態を把握するとともに、作成したプログラムに沿って介入を開始した。同時に、術後半年以上経過しても排便障害のために生活が障害されている患者も対象として、看護介入を実践した。また、一時的ストーマ造設患者に対しては、ストーマ閉鎖前より介入した。 その結果、内括約筋切除術後患者は低位前方切除術後患者と比較してsoilingに関する症状が強いほかは同様の排便障害があることが確認され、本プログラムの対象として含めることが妥当と考えられた。また、以下のことを看護支援プログラムに含める必要があることが明らかとなった。①効果的な肛門括約筋運動の継続への支援、②肛門周囲皮膚のケア方法指導、③排便に関する薬剤の調整に関する指導、④手術による排便機能の変化を症状と照らして理解することへの支援の5点である。しかし、術後半年以上経過しても排便障害がなお強い患者に対しては、作成し看護支援プログラムでは不足している点も認められた。 なお、積極的に国内外の学会で研究成果を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
看護支援プログラムについて、専門家の意見を参考にブラッシュアップできたとともに、実際に用いて実践し、その結果、加えることが必要な事項が明確になった。 また、看護診断学会で「排便に関する新たな診断の提案」の口演発表、国際精神腫瘍学会で「Emotional and Psychological States of Patients with dyschezia Following Low Anterior Resection for Rectal Cancer」のポスター発表をし、本術後排便障害が身体および精神的にも特殊な症状であり、看護ケアを必要としていることを整理し公表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
作成する看護支援プログラムの対象を肛門括約筋温存術以外に、内括約筋切除術も含めるものとし、プログラムに加える必要がある5点を加味してプログラムをブラッシュアップする。プログラムのアウトカム指標を検討した後、ブラッシュアップした看護支援プログラムを、現在候補である3施設での実施を開始する。 実施にあたっては、実際にプログラムを実践する看護師の確保が必要である。候補の3施設中2施設では担当看護師による実施が可能であるが、残りの施設が困難な状況が推測される。今後、本研究成果を多くの施設や対象患者へ広報することも考慮し、特定の担当看護師が不在でも、外来で看護師や医師が用いることができ、患者がわかりやすい媒体を用いることも検討していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査実施施設との相談と調整を施設へ出向き行う予定であったのが、日程調整上、平成26年4月以降となったために旅費分の差額が残った。 5月に調査実施施設(九州と都内)へ出向き、調査の相談と調整を行う予定である。
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