研究課題/領域番号 |
23593224
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
松井 希代子 金沢大学, 保健学系, 助教 (90283118)
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研究分担者 |
稲垣 美智子 金沢大学, 保健学系, 教授 (40115209)
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キーワード | 2型糖尿病 / 糖尿病腎症 / 糖尿病合併症 / QOL / 糖尿病腎不全 / 療養行動 |
研究概要 |
昨年度、糖尿病腎不全患者の肯定感尺度を作成し、この尺度得点が高いとQOLも良いこと、腎症としての療養期間が長いことを明らかにした。本年度は、糖尿病腎不全患者の療養認識のパターン分類を行い、肯定感が高い認識パターンにおける糖尿病腎症時期の療養条件の特徴を明らかにすることに取り組んだ。 2型糖尿病腎不全患者99名に面接式質問紙調査を行い、分析対象者は91名となった。療養認識の12項目の得点からクラスタ分析にて、療養認識のパターン分類を行った。Ward法で平方ユークリッド距離を使用した。デンドログラムにおいて3クラスタに分類できた。判別分析による判別的中率(交差確認済み)は94.5%であり、3クラスタに分類することは妥当といえ、療養認識は3パターンに分類された。糖尿病腎不全患者の肯定感尺度得点比較では、分散分析において、3クラスタの得点比較には有意な差(p<0.01)があった。クラスタ2の得点が一番高く、11.30±1.98(平均値±SD)点、続いてクラスタ3の得点は、6.83±1.72点、クラスタ1は4.54±1.53点であった。多重比較では、クラスタ2の得点が他の得点よりも有意に高く、続いてクラスタ3、クラスタ1の得点であり、それぞれに有意な得点差(p=0.000)があった。クラスタ2が、肯定感が高い認識パターンといえた。 各クラスタの特徴として、以下が明らかとなった。クラスタ2は、透析導入時の衝撃は少ない、自己効力感が高いという特徴があった。クラスタ1は、合併症が怖いが行動変容しない、食事療法実行度・運動療法実行度・薬物療法実行度が低い、糖尿病腎症での療養期間が短い、中断経験者が多いという特徴があった。クラスタ3は、定期的な通院をしていた、通院と薬と注射をしていれば大丈夫と思っていたという特徴が明らかとなった。クラスタ2が3つの療養認識パターンの中で望ましいといえた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度は、「遅ればせながらできるだけ 頑張ったと納得する」という肯定的な認識があることの証明とそれを糖尿病腎不全患者の肯定感尺度を作成し、この尺度得点が高いとQOLも良いことと、腎症としての療養期間が長いことを明らかにした。 2年目の今年度は、糖尿病腎不全患者の療養認識パタ―ンによる分類を行い肯定感が高くもてる集団があることが明らかとなり、これらの人たちに特有の療養条件を明らかにした。ほぼ順調といえる。 しかし、今年度末より、糖尿病腎症患者の調査に入る予定が、対象施設の都合により次年度からになったためやや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
糖尿病性腎症患者の意識と現在の療養状況を調査する予定である。 研究データ処理補助者の確保により推進されると考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
統計ソフトの購入。 研究参加者への謝礼と質問紙の作成と送料 糖尿病患者への研究内容の公表のための冊子の作成費に使用する。 学会発表を予定しており、学会参加旅費は必要となる。
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