研究概要 |
糖尿病腎不全患者の肯定感尺度を作成し、この尺度得点が高いとQOLも良いこと、腎症としての療養期間が長いことを明らかにし、糖尿病腎不全患者の療養認識のパターン分類を行った。各パターンを命名し、認識の特徴を分析し、肯定感が高い認識の特徴を明らかにした。 3つの認識パターンは、療養認識の5因子(第1因子;気にかけない、第2因子;予期せぬ進行、第3因子;肯定感、第4因子;自己責任感、第5因子;周囲の責任)において第1,3,4因子で有意差があった。 認識パターン別の特徴は、パターン1は、第1因子である、気にかけないという得点が有意に高く、現実逃避パターン、パターン2は、第3因子の肯定感が有意に高い特徴があり、高肯定感パターン、パターン3は、第4因子の自己責任感が有意に最も低いという特徴があり、原因不明感パターンとした。多重比較においても、高肯定感パターンが他の認識パターンと比べ、肯定感が高い認識パターンと特定した。 肯定感が高い認識である高肯定感パターンの療養条件の特徴と他の認識パターンとの比較から、現実逃避パターンは、腎症になっても気にしない気にかけない、原因不明感パターンは、自己責任感が最も低く、何が悪いのか明確にできていないと考えられ、高肯定感パターンになるためには、悪化の原因を明確にでき、糖尿病療養を気にかけることが必要といえた。また、現実逃避パターンと差がある療養条件から、高肯定感パターンは、合併症は恐いので行動変容し、食事・運動療法を実行し、糖尿病腎症療養期間が長い、さらに原因不明感パターンと差がある条件から、高肯定感パターンは、定期的な通院をしていたというより、自主的な実行があり、透析導入時の衝撃が低く、自己効力感が高くなるといえた。通院を中断しても、その後、行動変容し医療主体でなく、自主的に実行した自覚が、透析導入時の衝撃の弱さや腎症療養期間が長くなることにつながると考える。
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