研究課題/領域番号 |
23593235
|
研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
寺町 芳子 大分大学, 医学部, 教授 (70315323)
|
研究分担者 |
鈴木 志津枝 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (00149709)
東 清巳 熊本大学, 大学院生命科学研究部看護学講座, 教授 (90295113)
植田 喜久子 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 教授 (40253067)
|
キーワード | インフォームド・コンセント / 終末期 / がん医療 / ギアチェンジ / 意思決定 / 緩和ケア / 悪い知らせ |
研究概要 |
本研究ではシームレスな緩和ケアの提供を目指す看護支援モデル構築への示唆を得るために、治療の開始から終末期医療への移行までに、がん患者に病状や治療法の説明がどのように伝えられ、どのような意思決定支援が行われているのかを明らかにすることを目的とした。 日常診療においてがん患者との関わりを持つ医師5名とがん看護専門看護師(以下OCNS)7名に対して、研究の同意を得て、半構成的面接によるデータ収集を行い、質的帰納的に分析した。 医師は、エビデンスに基づいた治療法や終末期医療への判断と、治療経験に基づく終末期移行への予測を持つ中で、その判断に責任と迷いを感じていた。医師は、「患者は、終末期医療への移行を避け、積極的な治療に意識を向けるが、最終的には受け入れざるを得ない状況」と捉え、準備性を高めて希望を維持するという意図を持ち、患者の病状認識に沿って、治療開始時から、病期に応じた治療の目的や再発の可能性、根治が難しい病状、病状の進行に応じた緩和ケア情報を意識的・段階的に伝え、終末期では、希望を残すような予後の説明や意思決定を促す情報提供、緩和ケア、療養の場に関する具体的な説明を行っていた。 OCNSは、「医師は、治療効果の可能性や頑張ろうというメッセージは伝える反面、延命治療や治療の限界、緩和ケアについては、曖昧でぎりぎりまで伝えていない。医師が伝えても、病状進行の実感がないと、患者・家族が治療の限界を受け止めるのは難しく、否認したり対処を先延ばしにする。たとえ病状を受け止めても、迷い・揺れながら終末期の治療法の意思決定に臨んでいる」と捉え、患者・家族・医療者の合意意思決定を目指し、患者の病状認識、患者・医師関係、患者の余命、急性期病院の現状を踏まえて、症状マネジメントやエビデンスに基づく治療法の判断を行い、早期から終末期医療の意思決定の準備を意図した患者・家族へのアプローチを行っていた。
|