研究課題/領域番号 |
23593236
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
大野 佳子 北里大学, 看護学部, 准教授 (20347107)
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研究分担者 |
小林 奈美 北里大学, 看護学部, 教授 (90311406)
金子 あけみ 東京医療保健大学, 看護学部, 准教授 (80588939)
森 淳一郎 信州大学, 医学部, 講師 (20419401)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | カルガリー式家族アセスメントモデル / システム理論 / 禁煙介入プログラム / ジェノグラム / エコマップ / 保健指導 / 国際情報交流 / 介入研究 |
研究概要 |
文献レビューの結果、禁煙支援に関する研究は個人の行動科学に基づく介入研究が圧倒的に多く、家族の構造や関係性からシステマティックにアプローチする介入研究は、国内では見当たらなかった(田久保,小林,大野:医学中央雑誌医学用語シソーラス体系の構造からみた家族看護研究の動向-家族発達段階を基にした比較から-.Journal of Family Systems Care,1(4),67-73,2012.)。国外では、過去10年間に該当する原著論文は3件しかなく、2006年に禁煙指導に夫婦の相互作用を意図した介入研究論文を含め、プログラムそのものは個人の行動科学に基づくものであり、家族システムからのアプローチではなかった。 また、家族をシステムとして捉え、効果的な禁煙プログラムを開発するためには、介入する者が適切な家族アセスメントを実施できることが必須となる。本研究においては、システム理論等を基礎とするカルガリー式家族アセスメントモデルを用いており、ジェノグラム、エコマップ、円環的コミュニケーションパターン図(CPD)を適切に描くことが、適切な家族アセスメントおよび介入の前提となる。ジェノグラムとは家族の内部構造を示す家系図であり、エコマップとは家族の外部構造とその関係性を示す図である。我々は、禁煙指導に携わる看護学生に対して、家族アセスメント能力向上を目指す教育的介入を行い評価した。その結果、家族アセスメントを適正に表記する方法を教育する必要性と、介入側の信念や価値観が対象となる家族のアセスメントに大いに影響することを明らかにした(大野、田久保、小林:看護基礎教育において学生が制作した病により苦悩する家族のジェノグラム・エコマップおよびコミュニケーションの円環パターンの特徴.Journal of Family Systems Care,1(2),27-34,2011.)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
学会報告や論文発表により一定の成果を報告できたこと、この1年間の研究によって、国際的な情報の共有が可能となり、次年度は禁煙支援プログラムおよび 禁煙支援の社会構造について、インドネシアと文化的背景を含む比較研究を共同で実施する計画であること(2012年5月)。 さらに、共同研究者(インドネシア/日本)の助成金獲得により、家族システムの視点からの禁煙支援プログラム開発の前提となる、情報コミュニケーション技術(Information and Communication Technology: ICT)による家族アセスメントツールの開発を視野に入れた研究の可能性が高まったこと。
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今後の研究の推進方策 |
(残金理由と状況) 23年度に実施予定であった、禁煙を含む保健指導調査について未実施であったため、当該研究費の残金が生じたが、24年度に実施予定である(倫理審査会の承認後)。 (今後の推進方策) 効果的な禁煙プログラムの開発には、有用な家族情報を収集し、禁煙プログラム介入に活用するシステムが必要である。ジェノグラム、エコマップ、円環的コミュニケーションパターン図(Circular Pattern Diagram: CPD)は、それを支援する有効なツールであるが、統一された表記法はない。そこで、次年度は、禁煙支援に生かす家族の情報の標準化を図るべく、主にインドネシアとの国際比較を行い、禁煙支援するICT(Information and Communication Technology)ツールを試作し、家族の情報を禁煙支援プログラムに生かすICTシステムの構築を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
これまでの禁煙を含む保健指導・健康教育が、具体的にどのようなシナリオで展開されてきたのか、分担研究者(金子あけみ/森淳一郎)とともに既存データより文章を抜き出し表に整理し、テキストマイニングソフトにより分析し、成果発表する。 また、2012年5月に、インドネシアにおいて分担研究者(小林奈美)・研究協力者(田久保由美子)による禁煙指導の実施主体・対象者に関する情報、家族情報をどのように収集しているか介入・評価方法、社会文化的背景について調査を行う計画である。
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