本研究では、難治性の疼痛を抱え、オピオイド鎮痛薬を使用している非がん性慢性疼痛患者のオピオイド治療中の痛みの程度と患者評価と日常生活における健康QOL、および痛みに対する対処行動がどのよう関連しているかを明らかにした。 対象者は研究機関医2施設のペインクリニック外来を受診中で非がん性疼痛を持ち、オピオイド鎮痛薬治療を実施中の成人患者であり、本人から研究参加の同意を得た。 データ収集期間は平成26年3月から平成27年4月であった。 外来診察時の待ち時間を利用して、面接聞き取り調査を実施した。質問内容は、基本属性、疼痛部位、発症年月、痛みの程度はnumeerical rating scale(NRS)を用い、健康に関するQOLはSF36を用いた。痛みの対処方略については、CSQを用いた。 結果、対象者は男性17名、女性18名合計35名であった。平均年齢は61.3±15.9歳(22-86歳)であった。 対象者はオピオイド処方前に受けていた治療よりも、現在のオピオイド治療の効果を、有意に高く評価していた(P<.001)。女性のほうが男性よりも現在の効果を有意に高く評価していた(P<.05)。性別によるsf36下位尺度得点の差を見ると、活力にのみ有意差がみられた(P<.05)。オピオイド療法に対する患者評価は、年齢に正の相関があり、労災の有無やオピオイド療法の継続年数や睡眠への支障、現在の痛みに負の相関があった。オピオイド療法に対する患者評価は、CSQの認知的対処方略の下位因子である「破滅思考」と負の相関があった。オピオイド療法に対する患者評価は、SF36の下位因子であるRole-Emotional尺度と正の相関があった。
|