本研究の目的は、直腸がんに対する直腸低位前方切除術 low anterior resection(LAR)や内肛門括約筋切除術intersphincteric resection(ISR)の術後のQOLの向上を目指して、排便状態を評価するアセスメントシートを作成し、排便障害対策として看護介入を提案することである。 平成23年度は外来通院中のLAR、ISRの患者88名のデータから質的分析で抽出された排便障害項目7項目で排便状態アセスメントシート案を作成し、平成24年度は外来通院中のLAR、ISRの患者91名のデータから統計的分析を行い排便状態アセスメントシートを作成した。さらに、アセスメントシートを用いて研究協力看護師2名に外来通院中のLAR、ISRの患者7名、入院中の患者2名の排便状態を評価してもらった。協力看護師からの意見、研究者間での意見交換を重ね、排便状態アセスメントシートを完成させた。完成したアセスメントシートの内容は、「1日の排便回数」「排便の連続」「便の出方」「落ち着くまでの時間」「便失禁」「肛門部痛」「夜間の排便」「便の性状」の8項目を「問題ない」「中程度の障害」「高度障害」を白、黄、赤に色分けして、評価が一目でわかるように工夫した。その他、気になることについて記載できるようにし、入院中、外来通院中に継続して記録できるように作成した。また、排便障害対策としての看護介入は、平成23年度のデータで得られたセルフケアの11項目について、平成24年度にアンケート調査を行い、「排便習慣」「食生活」「骨盤底筋運動」に集約してパンフレットを作成した。アセスメントシートで「高度障害」の項目をを中心に介入を行い、排便障害対策を提案した。
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