研究課題/領域番号 |
23593244
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
村上 好恵 東邦大学, 看護学部, 教授 (70384659)
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研究分担者 |
武田 祐子 慶應義塾大学, 看護医療学部, 教授 (80164903)
川崎 優子 兵庫県立大学, 看護学部, 准教授 (30364045)
今井 芳枝 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (10423419)
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キーワード | 遺伝性腫瘍 / がん看護 / 遺伝カウンセリング / ケアネットワーク / 家族性腫瘍 |
研究概要 |
遺伝性腫瘍は、若年で発症する、多臓器にわたり同時性・異時性にがんを発症する、という特徴をもつため、各診療科にわたって治療を受けるが、その際に散発性のがんととらえられることもあり、診療科を超えての情報共有には限界がある。そこで、本来の研究計画では、「遺伝性腫瘍の患者への診療に携わる機会が多いと予測される外科系外来の医師と看護師を対象に、遺伝診療を充実させるための方略についてインタビュー調査を行う。」としていた。更に研究目的および研究対象を焦点化するため、文献検討および研究者間でのディスカッションを行った。 その結果、米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology: J Clin Oncol 14:1730-6;1996)が提案している、Group1(責任遺伝子が明確に同定されており、検査結果によって医療方針を決めることができるような疾患)と、Group2(責任遺伝子と特定のがんへの易罹患性との関連がかなりの程度明らかになっているが、研究的側面を残す)を区別することが妥当であることが明らかとなった。 Group1の代表的な疾患である家族性大腸腺腫症は、大腸内視鏡検査で発見されることが多く、また継続した検査やサーベイランスが必要となるため、内視鏡検査に携わる看護師の役割は重要である。日本消化器内視鏡学会の消化器内視鏡技師の認定資格を取得している看護師が、家族性大腸腺腫症の患者に深くかかわっている可能性が高いことが明らかとなった。 Group2の代表的な症候群は、遺伝性大腸がんの1つであるリンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス大腸癌)と乳がん・卵巣がん症候群である。現在、乳がん・卵巣がん症候群に関する遺伝子検査(BRCA1/BRCA2)が全国的に実施されてきているが、看護師が深く関わっている施設は限られていることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の所属研究機関の変更に伴い、研究計画書は新たな所属機関の倫理審査に提出することにしたため、本年度は研究計画書の充実化に時間を要した。また、研究代表者の職務内容の変更により、本研究に対するエフォートが極端に減少してしまった。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方策は、診断名が明確である遺伝性腫瘍(Group1)の看護を担っている看護職と、症候群という散発性のがんと区別のつきにくい状況の遺伝性腫瘍(Group2)の看護を担っている看護職への調査を通して、診療科の枠を超えた活動が可能である看護師の視点で継続医療を提供するためのケアネットワークモデルの構築を目指す。 Group1の「家族性大腸腺腫症」は診断名であるため、携わっている医療者にとっても対象者の状況を理解しやすいものと思われる。そこで、日本消化器内視鏡学会認定の消化器内視鏡技師資格をもつ看護職に対して、家族性大腸腺腫症の患者の病態や生活、予防行動などへの理解度や必要としている知識などを調査することとする。 Group2の乳がん・卵巣がん症候群に関する遺伝子検査(BRCA1/BRCA2)に先駆的に携わっている施設の看護職に多科診療連携の取り組みの実態をインタビューする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に予定していたインタビューおよび学会での報告を行えなかったため、旅費などの予算が執行できなかった。平成25年度は、最終年度になるため、予定している研究の遂行とともに、成果を学会等で発表し、予算を執行する予定である。 また、書類上は、研究分担者の平成24年度の予算が執行されていない結果になっているが、教育ツールのパンフレット作成が年度末になり、請求が年度初めになったためである。
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