研究課題/領域番号 |
23593245
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
渡部 節子 横浜市立大学, 医学部, 教授 (80290047)
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研究分担者 |
五木田 和枝 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (40290051)
平田 明美 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (00444943)
稲葉 裕 横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (40336574)
森 みずえ 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (50317070)
諸田 直実 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (20210205)
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キーワード | 人工股関節全置換術 / 術後創感染 / 感染予防 / 術前皮膚準備 |
研究概要 |
我が国における人工股関節全置換術の手術部位感染予防のための術前皮膚処置方法は、EBMに基づく米国疾病管理予防センターの「手術部位感染防止ガイドライン」や日本整形外科学会による「大腿骨頸部骨折診療ガイドライン」において推奨される方法と異なることが多い。そこで、我が国における人工股関節全置換術における手術部位感染を最小限に抑え、患者のQOLを高めるために術前消毒方法の有効性と費用対効果を検証することとした。 本研究は、3年計画であることから平成23年度は倫理審査委員会において研究の承認を得た。ついでそれらをもとに①CDCガイドラインに則った方法を実施している施設においてTHAを受け、研究に同意された患者を対象に感染の有無、感染のリスクファクターに関して情報収集を開始した。平成24年度はそれらを継続すると共に、従来実施していた②厳重な術前処置を実施している施設において同様の調査の実施をした。その結果、対象者は①92名②79名で、年齢・BMIにおいて手術時間・入院日数に関して有意差はあったもののいずれの施設においても創感染数は0であった。さらに②の施設において従来通りの厳重な術前処置を行っている期間と、術前処置のうち消毒回数と消毒方法を変更した後の感染率の相違を検討した結果、対象者は変更前N=65、変更後N=14で、創感染率に有意差はみられなかった。尚、手術時間や入院日数等は変更後の方が優位に短時間及び短期間であったものの性別・年齢・BMI・合併症の有無に関して有意差はなかった。 以上のことから途中経過であるものの、現時点において従来の厳重な術前処置方法は術後創感染予防のためのエビデンスとは認められないと推察できる。費用対効果に関しては現在、看護師の術後創感染予防のための術前処置に関するケアのタイムスタデイを実施中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CDCガイドラインに則った方法で実施してる施設と従来通りの厳重な術前処置方法を実施している施設の感染率の比較、さらには従来通りの厳重な術前処置方法を実施している施設において厳重な術前処置方法の一部の変更(消毒回数と消毒方法)前後の感染率の比較に関して順調にデータ収集が行われている。現在、看護師の術後創感染予防のための術前処置に関するケアのタイムスタデイを実施中である.
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今後の研究の推進方策 |
CDCガイドラインに則った方法で実施してる施設と従来通りの厳重な術前処置方法を実施している施設の感染率の比較、さらには従来通りの厳重な術前処置方法を実施している施設において厳重な術前処置の一部の変更(消毒回数と消毒方法)前後の感染率の比較に関して平成24年度に引き続き該当施設においてデータ収集を行っていく。また、看護師の術後創感染予防のための術前処置に関するケアのタイムスタデイに関しては継続して手術時前日・当日に該当施設に赴き、データを収集していく予定である。尚、タイムスタデイに関しては事前にマニュアルを作成し、プレテストを行うなどしてタイムスタデイに齟齬がないように準備を整えたうえで該当施設の看護師にも協力を仰ぐようにしていく。データ収集は平成25年度10月までとして、それ以後はデータをまとめ、分析していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に行った従来通りの厳重な術前処置を実施している施設において厳重な術前処置の一部の変更前後の感染率の比較に関するデータ収集に関して施設の協力が得られたことや、学会参加に関して主研究者1名であったことから繰越金が生じた。平成25年度は平成24年度に引き続き該当施設においてデータ収集を行っていくこと、さらに看護師の術後創感染予防のための術前処置に関するケアのタイムスタデイに関しては手術時前日・当日に該当施設に赴き、継続してデータを収集していく予定であるため該当施設(遠距離である)に赴くための交通費や通信費が必要となる。また、データ入力などに補助者への謝金が必要となる。尚、感染に関する海外での学術集会に参加してアップデートな情報を収集し、論文にまとめる際に生かすようにする。
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