研究課題/領域番号 |
23593246
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
五木田 和枝 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (40290051)
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研究分担者 |
渡部 節子 横浜市立大学, 医学部, 教授 (80290047)
菅野 洋 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員准教授 (40244496)
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キーワード | 周手術看護 / 脳腫瘍患者 / 開頭術 / QOL |
研究概要 |
本研究は、開頭腫瘍摘出術を受け苦悩する患者および家族のQOLを高めるための生活支援プログラムを開発し、介入による効果を検証することを目的としている。 開頭腫瘍摘出術患者は、原疾患による運動障害や高次脳機能障害等極めて多様で複雑な症状があるため、術直後から在宅までその苦悩は深く、家族の負担も大きい等継続的に課題が多い。とりわけ術後の人格の崩壊や人間としての尊厳に対する恐怖心を抱く人々に、身体的精神的QOLの確保が急務である。患者・家族のQOLを高める新たな生活支援プログラムを開発し効果的な介入を実践評価することは、ノーマライゼーションの観点から患者家族の自立支援に寄与し、在院日数の短縮に貢献できる。 本研究における24年度計画は、平成23年度開始時における研究目的達成のための第一段階として、看護師に対するインタビュー調査を実施し、全国の看護師に調査をする予定とした。 その実績としては、第一段階の調査を開始したところである。まず、実践者である看護師に対するフォーカスインタビューを実施するために調査計画を立案した。研究計画書は所属大学看護学科並びに所属大学医学研究倫理審査会の承認を得た。複数の協力施設の院内審査並びに看護部の倫理審査会の承認を得て調査準備が整い、看護師を対象にした開始した段階である。したがって、今後は看護師に対するデータ収集を継続し、結果の分析を開始する予定である。また、次の第二段階としては、前述のインタビュー調査結果を基にして調査項目を検討する。その後にアンケート調査を開始する予定とする。更に、第三段階としては、QOL向上のための支援内容を検討し事例的に検証していく予定である。従って、成果は次年度以降となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成24年度は、平成23年度から遅れていた第一段階としての研究を開始したところである。つまり、平成23年度から、患者と家族に対する看護実践の現状と課題を質的分析で究明する目的で、複数の施設から開頭腫瘍摘出術患者・家族の看護を実践する看護者に対するフォーカスインタビューと全国調査の予定と修正したが、以下の理由により、研究活動の時間確保がほとんどできなかったため達成度が遅れている状況である。 1看護学カリキュラムにおける改正のため、新・旧カリキュラムの看護学の授業及び演習や実習が年間を通して実施された。この中で、教育活動のエフォートが増した。結果的に研究活動のエフォートが計画時より大幅に減少せざるを得なかった。また研究の実施が遅れていたため、一度承認を受けた施設における倫理審査が、年度を越したことから再審査が必要になった。従って看護師へのインタビュー調査の開始が更に遅れることになった。 2.大学における教員の減員状況が続き、応募がなく、直接的に担当看護学領域の欠員状況が年度末まで補充されなかったため、授業・演習・実習他の教育業務の負担が増えた事、更に入試業務及び学生支援など、学内運営業務も負担することが増えたことから研究に着手できなかった時期が長かった。また、上記欠員状況に加え、後期からは異動も含めた教員による退職希望者が多く、年度末の業務や新年度の準備に時間を費やす事がこれまで以上に増えたため、結果的に研究活動のエフォートの確保が困難となった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的である、「開頭腫瘍摘出術を受け苦悩する患者および家族のQOLを高めるための生活支援プログラムを開発し、介入による効果を検証する」ために、次年度は以下の点を推進していく方針である。 本研究における平成23年度から24年度における2年間の研究実績が遅れているため、当初予定の第一段階の調査を開始したばかりで、現在データ収集中である。今後、データ収集を継続する。成果については、学会等で報告する。 また、第二段階の全国の看護師に対する実践者に対する量的研究については、上記インタビューの調査結果を分析した後、それを踏まえた調査項目を吟味し具体的な調査計画を立て、実施する予定である。 課題としては、研究計画の初年度分が遅延しているため、平成23年度及び平成24年度、そして平成25年度に予定した研究計画が順次遅れてきているた点である。助成金交付の時期が平成25年度で終了するため、また、研究活動のエフォートが確保できる時間的な確保とマンパワーなど環境調整が課題になる。そのため、助成金については研究協力者への謝金として執行し、協力者の確保をして研究推進したいと考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度に予定していた計画の開始が23年度にできなかったこと、また、平成24年度に延期した計画が、欠員等による教育業務及び学内運営で研究におけるエフォート確保が困難な状況が続き解消されず順次遅れてきているため繰越金が生じた。平成25年度計画と研究方法は、以下のとおりとする。 1.看護者に対する質的調査におけるデータ収集を継続:患者と家族に対する看護実践の現状と課題を質的分析で究明することを目的に、複数の施設から開頭腫瘍摘出術患者・家族の看護を実践する看護者に対するインタビューを継続し、データ分析する。調査期間は平成成25年11月までとする。成果を学会等で公表する。 2.全国の看護師への量的調査:全国100床以上の脳神経外科を有する病院のうち、同意が得られた施設に説明文書と質問紙を送付し開頭腫瘍摘出術患者および家族の看護を実践している看護師200名程度に対し、開頭術患者と家族のQOLに関する看護の現状と課題に関する質問紙調査を開始する。 調査期間は平成25年8月~平成25年12月を予定する。第三段階の事例的研究は、上記の成果を踏まえて具体的な計画を検討して実践準備を開始する。したがって、助成金は、研究協力者の謝金並びに、データ入力、学会参加費、調査費等に使用する。
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