今年度は面接調査を実施した。対象者は6名で、急性期病院から回復期リハビリ病院へ転院して数ヶ月間の療養生活を経て、退院数日前あるいは退院日に面接を行った。脳卒中患者の家族介護者は、患者の症状が改善することを期待し、積極的なリハビリができる施設を求めて転院しており、医師から退院の目処を通達された頃の症状の程度に応じた住居の改築を理学療法士から指示され、利用した方がよい介護サービスを看護師から紹介され、それらの準備が全て終了して退院を迎えていた。そして、ようやく自宅と病院とを行き来する生活が終わることに安堵し、「やってみなければわからない」状態を肯定的に捉えており、「何とかやってみる」覚悟をして退院した。本来、この状態で退院後の生活を追跡調査する予定であったが、研究者の自宅への訪問は受け入れられなかった。一部、電話でのインタビューが可能で、退院後半年頃では、「今のところ大丈夫」「今はまだ何とかできている」と語り、退院後の生活に少しずつ慣れてくる中で、先の見通しはつかないまでも「今は」対応できると捉えていた。患者の発症以後、病院に通う生活から解放され、元の生活を取り戻しつつある中で、まだ自分よりも患者を優先する傾向にあると推測され、その後の追跡の必要性が示唆された。 本研究は、まず、在宅移行前の介護準備状態と家族状況等の関係を量的に測定した。その結果、介護準備状態は、ソーシャルサポート力が高い介護者や介護対処力があると評価する介護者が高く、介護者の年齢や就業の有無、患者のADL自立度とは関係がなかったことが明らかとなっている。 これら量的・質的研究の結果から、脳卒中患者の家族介護者に対して、看護師はできるだけ早期から、家族介護者のサポート力や介護力を経時的に査定しながら向上させる支援をし、退院後少なくとも半年以上は介護者の変化を追跡して継続的な支援を実施する必要があると考えられる。
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