研究課題/領域番号 |
23593257
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
矢ヶ崎 香 慶應義塾大学, 看護医療学部, 助教 (80459247)
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研究分担者 |
小松 浩子 慶應義塾大学, 看護医療学部, 教授 (60158300)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 看護学 / がん看護 / 経口化学療法 / 服薬 / 外来 |
研究概要 |
本研究の目的は、自宅で経口化学療法薬を服用する患者が安全かつ確実に治療を継続し、治療の完遂を促すための、服薬支援モデルを開発し、そのモデルの有用性を検証することである。本年度は、I.「自宅で経口化学療法を続けるがん患者の安全、確実な服薬継続の阻害要因と有害事象に対するセルフマネジメントの実態解明」に向けた網羅的文献レビュー、およびII.「経口化学療法を受けるがん患者への看護支援の実態と課題の焦点化」に関する研究計画書を作成した。本年度は次の通り実施した。1)経口化学療法に関する文献検討を網羅的にレビューを行った。データベースはMEDLINEと医中誌を用いて、検索式は[Oral Chemotherapy]and [cancer]あるいは[Oral Chemotherapy]and [cancer]and[adherence]、日本語では経口抗がん剤、化学療法をキーワードに検索した。その結果、専門家によるレビュー報告が複数認められたものの、近年、開発されている新薬に関するがん患者の服薬状況の実態を調査した研究は乏しいことが明らかになった。その一方でアドヒアランスを高めるための方略の開発がすすめられていた。アドヒアランスに影響する要因として年齢、教育、収入、ヘルスリテラシー、抑うつ、治療への期待、信念などの「患者の要因」、病気の重症度、病気や治療の副作用などの「病気の要因」、医療者との関係性とコミュニケーション、医療機関との距離等の「システムの要因」など挙げられ、多次元の要因が絡み合っていることが示唆された。2)IIの調査については、自宅で経口化学療法を受ける患者に対する服薬指導、セルフケア指導等に関する看護支援の実態の探究を目的に、専門的な知識を備える看護師を対象に質的記述的研究を計画した。本計画は本学の倫理審査委員会へ申請し、承認を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、I.「自宅で経口化学療法を続けるがん患者の安全、確実な服薬継続の阻害要因と有害事象に対するセルフマネジメントの実態解明」のために患者を対象に面接調査をする予定であったが、網羅的文献レビューを終えた後にIの調査を行うこととし、その間、II.「経口化学療法を受けるがん患者への看護支援の実態と課題の焦点化」を先に調査することへ計画を変更した。IIについては、研究計画について倫理審査委員会の承認を得た。すでに調査の準備は整った。
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今後の研究の推進方策 |
今年度、調査の実施を行わなかったためデータ収集の謝金、テープ起こし代がかからず、次年度へ持ち越した。II.「経口化学療法を受けるがん患者への看護支援の実態の焦点化」について倫理審査委員会で承認を得たことから、今後は本調査を優先的に行う。一方、I.「自宅で経口化学療法を続けるがん患者の安全、確実な服薬継続の阻害要因と有害事象に対するセルフマネジメントの実態解明」の調査については、患者を対象とするためリクルートに時間を要することが見込まれる。したがって、II.の看護支援の実態の焦点化に向けたデータ収集、分析がある程度進んだ時点で、早めに、次の段階(Iの調査)の研究計画の作成、倫理審査の申請などの準備を進めるように努めることが重要である。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査のための謝金、旅費、およびデータのテープ起こしとして使用する。旅費については、9月に国際がん看護学会へ参加するための旅費、学会参加費を使用する。そこでは、経口化学療法の管理、アドヒアランスの問題等について諸外国の状況や最新の知見について情報収集する予定である。国内旅費は、2月に日本がん看護学会が開催されるため、本研究の調査を発表するための旅費として使用する。
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