研究課題/領域番号 |
23593259
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
新藤 悦子 慶應義塾大学, 看護医療学部, 准教授 (20310245)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 再発大腸がん患者 / 外来化学療法 / サポートプログラム / 心理社会的アプローチ / 看護 |
研究概要 |
本研究では、外来で長期にわたって「エンドレス」な化学療法を続けていく再発大腸がん患者の支援体制づくりのために、当事者たちの生を繋いで行く体験と支援のニーズを明らかにし、当事者と医療者でつくる支援プログラムを構築することを目的としている。平成23年度は、国内外の文献収集と内容の検討を行い、進行再発がん患者の支援の現状と課題の把握を計画し、以下の活動を行った。1)研究連携者との会議を開き、研究の方向性について検討した。2)再発大腸がん患者の支援のありかたの検討の一環として、再発大腸がん患者の病状認識のしかたについての考察を行い、第31回日本看護科学学会学術集会にて発表した。6~7名の参加者と再発がん患者が直面している問題やそれへの支援のあり方について意見交換ができた。支援のあり方が模索されている現状であることを再認識した。3)再発大腸がん患者の支援ニーズ、支援の方法論、効果、課題について文献を検討した。治療後大腸がん患者の身体・心理・社会的負担は多いが、患者からのアピールは少なく、研究においても注目されていないことがわかった。他部位がんサバイバーのサポート方法論の研究は多く、さらにグループ療法のエビデンスが出されている。しかし大腸がんサバイバーサポートプログラムに関する介入研究は少なく、現在RCTのPilot studyが発表されている段階である。それらの研究の効果判定には不安やうつの低減・ケアの満足・QOLの向上などであった。さらに再発後治療継続中の患者を対象とした介入研究は見当たらなかった。以上より、今後の研究の取り組みに期待されていることが分かった。再発後の患者は自己解体の危機を経験し、その中でゆらぎつつ自己統制しつつ生を繋いでいる。その支援のためには、現在行われているRCT研究を参考にしつつ、個別対応の心理社会的なアプローチが求められていると考察した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究では、外来で長期にわたって「エンドレス」な化学療法を続けていく再発大腸がん患者の支援体制づくりのために、当事者たちの「生を繋いで行く体験」と「支援のニーズ」を明らかにし、当事者と医療者でつくる支援プログラムを構築することを目的としている。平成23年度は、国内外の文献収集と内容の検討・進行大腸がん患者の支援の現状と課題の把握を目的とした。文献検討やケア提供者である看護師の関心の度合いなどから、再発大腸がん患者の支援ニーズ、支援の方法論についての課題について考察し、目的を達成することができた。一方、既存のがん患者サポート組織及び進行再発がん患者の支援をしている医療者・研究者に対する聞き取りを行ない、現在の進行・再発がん患者への支援の方法と課題点を整理するという情報収集については達成することができなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
1、会議を定期的に開催し、連携研究者との間で進捗状況を確認共有し、計画的に進めていけるようにする。2、行動計画を立て、それに基づき実施する。 1)4~8月文献検討結果の発表準備と既存の進行・再発がん患者への支援の方法と課題点について聞き取りを行う。 2)9~11月当事者へのインタビューの計画立案、倫理審査申請を行う。国際がん看護学会等での情報収集を行う。 3)12月~3月当事者へのインタビューの実施を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
未使用額の発生は、予定していた国際学会へ本務都合により参加できなかったこと、既存のがん患者サポート組織及び進行再発がん患者の支援をしている医療者・研究者への聞き取りまで活動できなかったこと、および効率的な物品調達を行った結果であり、翌年度の旅費、謝金、消耗品などに充てる予定である。 平成24年度は国際がん看護学会に参加して再発大腸がん患者の看護やサバイバー支援の趨勢について情報を得るとともに国内の学会において平成23年度に活動した成果を発表する予定である。さらに日本において支援している医療者や研究者への聞き取り等の旅費及び謝金、当事者である再発大腸がん患者を対象としたインタビューの準備、実施のための旅費、謝金及び会議費、関連図書の購入、その他文具等の消耗品の購入に充てる予定である。
|