研究課題/領域番号 |
23593259
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
新藤 悦子 慶應義塾大学, 看護学部, 准教授 (20310245)
|
キーワード | 再発大腸がん患者 / 外来化学療法 / サポートプログラム / 心理社会的アプローチ / 看護 |
研究概要 |
本研究は、当事者たちの支援のニーズを明らかにし、当事者と医療者でつくる支援のありかたを考えることを目的としている。平成24年度は以下の再発大腸がん患者の支援の現状と課題の把握の活動を行った。 1)大腸がんサバイバーサポートプログラムに関する個別介入研究に関しては、看護師主導の教育的介入の研究、心理社会的介入としては電話による介入研究がみられたが、研究や活動自体が少ない状況であった。 2)既存の大腸がん患者サポート組織に対する聞き取りを行い、支援の内容・課題を整理した。(1)患者会の機能について:①ピアサポート②患者・家族からの相談③行政などへの働きかけ(2)活動内容について:①就労支援:がん罹患により、離職する結果になることが多い。一方で治療継続には高額な治療費を要し経済的問題は当事者にとって重要な問題である。②心理的支援:体験者は「理解してもらえない」という感覚に陥りやすく、孤立しがちであり、心理的サポートは欠かせない。③相談機能:がんに罹患した人の家族不安に対するサポートの必要性。(3)医療者への課題と期待:医療機関における相談やサポートの現状に対する意見としては、時間的な問題認識があり、多くを期待していない。また近年がん患者相談室などが設けられサービスが開始されているが、利用しづらい雰囲気もある。特に男性は気持ちをオープンにしない傾向にある。声を上げられない人へのサポートが課題である。 3)国際がん看護学会(チェコ)に参加し諸外国の進行再発大腸がん患者の支援について情報収集を行った。サポーティブケアに関しては、教育的サポートプログラムが中心であり、心理社会的なサポートについては今後の課題とされることが多かった。再発大腸がん患者のニーズ探索は今後の課題であることを他国の参加者と共有できた。 4)再発大腸がん患者の療養体験の実態調査の準備としてリクルート方法の検討を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、当事者たちの支援のニーズを明らかにし、当事者と医療者でつくる支援のありかたを考えることを目的としている。平成24年度は国内外の再発大腸がん患者の支援の現状と課題の把握の活動を行い、重要な課題ではあるが再発大腸がんに特化した形でのサポートが大変少ない現状がわかった。しかし、再発がんに対する治療を受けていく当事者たちのリクルートが大きな課題としてある。当事者たちは定期的な治療とその後の副作用に対応しなければならず、ニーズ把握方法の検討に時間を要することになった。また23年度の成果発表として予定していた学会へ都合により参加できなかったため、学会での成果発表ができなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
1、活動計画を立て、それに基づき実施する。 1)4~5月研究倫理審査を受ける2)5月~6月インタビューのリクルートに関して複数施設に協力依頼をする。3)6月国際サポーティブケア学会において23年度からの成果を発表し、国内外の研究者との情報交換、意見交換を行う。(発表受理済)4)7月~11月当事者へのインタビューを実施する。5)11月~3月調査分析まとめを行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
未使用額の発生は、予定していた学会へ本務の都合で参加できなかったこと、当事者へのインタビューが開始できなかったこと、および効率的な物品調達を行った結果であり、翌年度の謝金、旅費、消耗品購入などに充てる予定である。 平成25年度は、当事者である再発大腸がん患者を対象としたインタビュー実施のための旅費、謝金、会場費、関連図書の購入、その他文具などの消耗品に充てる予定である。さらに国際サポーティブケア学会において23~24年度に活動した成果を発表する予定であるため、旅費、参加登録費、発表原稿翻訳料に充てる予定である。
|