研究課題/領域番号 |
23593259
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
新藤 悦子 慶應義塾大学, 看護学部, 准教授 (20310245)
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キーワード | 再発大腸がん患者 / 外来化学療法 / サポートプログラム / 心理社会的アプローチ / 看護 |
研究概要 |
本研究は、長期化学療法中の再発大腸がん患者の心理社会的問題に関わる療養体験を明らかにし、当事者と医療者でつくる支援のありかたを考えることを目的としている。平成25年度は以下の研究活動を行った。 1) 当事者たちの心理社会的問題に関わる療養体験を明らかにした。化学療法中の再発大腸がん患者の心理社会的問題に関わる経験について調査を継続中である。データは各参加者約60分~80分の半構成的面接法によって収集し、その語られた経験を解釈し分析中である。参加者は早期発見、早期受診の行動が取れなかったことを昨日のことのようにリアルに語り、それが進行再発がんとなってしまった後悔として語られた。転移したがんに対する治療を続けることでしか生き続けることができない事実に日々直面しつつ、治療継続中の「日替わり」の副作用、症状の日常生活のへの影響、病気悪化への不安など様々な苦痛に苦慮しながらも、「気にしない」と自分自身に言い聞かせる形で対処していた。「金の切れ目が命の切れ目」となりかねないことを常に意識しつつ、家族による手厚いサポートを受けていたが、気持ちの詳細は言葉にしないようにしていた。今後さらに事例を収集し、分析を重ねて社会心理的な問題の在りようの理解を深め、支援の在り方を検討していく。臨床における当事者サポートのための活動の可能性について検討する。 2)国際サポーティブケア学会(ドイツ/2013年6月27日~29日)での参加・23年度からの成果発表を行った。世界77か国約1300名が参加した。がんサポーティブケアは症状・合併症コントロール、リハビリテーション、QOL,サバイバーシップ,社会心理的問題、緩和ケア等多岐にわたった。再発大腸がん患者の経験、心理社会的支援に関する文献検討結果を発表した。再発大腸がん患者の生存期間の延長に比して、日本に限らず研究が少ない現状を参加者と共有した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、長期化学療法中の再発大腸がん患者の心理社会的問題に関わる療養体験を明らかにし、当事者と医療者でつくる支援のありかたを考えることを目的としている。本研究の対象者である長期治療中再発大腸がん患者のリクルートが大きな課題であったが、平成25年度は計画通り、研究倫理審査を受け調査を開始した。しかし一施設の協力しか得られなかったこと等もありリクルートに時間を要し予定の調査を終えることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
1)4~8月当事者へのインタビューを実施・分析する 2)9月国際がん看護学会において、25年度の成果を発表し、国内外の研究者との情報交換、意見交換を行う。(発表受理済) 3)6月~10月支援のあり方について、専門家のスーパーバイズを受ける。 4)9月~2月一施設の患者サロンとの融合をはかり、支援を試験的に実施・評価する 5)2月~3月まとめを行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究の対象者である長期治療中再発大腸がん患者のリクルートが大きな課題であったが、平成25年度は計画に基づき、研究倫理審査を受け調査を開始した。しかし一施設の協力しか得られなかったこと等もありリクルートに時間を要し予定の調査を終えることができなかった。 未使用額の発生は、当事者への調査に関わる支出(謝金、旅費、会議室借用費他)が計画どおりにできなかったこと、および効率的な物品調達を行った結果である。 平成26年度は、当事者である再発大腸がん患者を対象としたインタビュー実施をさらに追加・分析を行う。そのための謝金、テープ起こし、支援のあり方についてのスーパーバイズを受けるための謝金、関連図書の購入、消耗品購入に充てる予定である。さらに国際がん看護学会において25年度に活動した成果を発表し示唆を得る予定であるため、旅費、参加登録費、発表原稿翻訳料に充てる予定である。
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