本研究では、外来で長期にわたってエンドレスな化学療法を続けていく再発大腸がん患者の支援体制づくりのために、当事者たちの生を繋いで行く体験と支援のニーズを明らかにし、支援の在り方を考えることを目的とした。 平成23年度は、国内外の文献収集と研究内容を検討し、再発がん患者の支援の現状と課題の把握を行った。平成24年度は、患者会等を訪問し、支援の現状と課題の把握の活動を行った。平成25年度は、心理社会的問題に関わる療養体験を明らかにするための調査研究活動を行った。 平成26年度は引き続き調査研究活動を行い、心理社会的問題に関わる経験と乗り越える力について明らかにし、支援の在り方について考察した。調査方法は質的記述的研究デザイン。50~70代の参加者7名の語りを分析の対象とした。その結果、発見の遅延を自責し、病状の悪化に怯えつつ、結局は一人孤独に闘うという厳しさと向き合っていた。生きていくためには外せない治療と向き合い、辛さを軽く受け止めるように努力し、家族や経済的なサポートを受けることを力にしていた。また患者は医療機関にそのようなサポートを期待していない傾向にあった。心理社会的サポート情報が病院内に提示されていても、当事者の目に入らなかったり、外来時の短時間の診察時はそのニーズを表出する場ではないという認識をもっており、看護相談を受けること自体を考えていなかった。一方患者自身の乗り越える力は大きく、病いをもち、治療を継続していくことを自らの生の手段として価値づける力をもち、日々の治療現場でいいケアを受けている信頼感と家族のサポートによって、心理社会的問題に対処していることが明らかとなった。患者本人のレジリエンスは療養上重要であり、レジリエンスを高めて行くために、個別の看護面談でその力を共有し、必要な情報がいつでも利用可能なリソースが個別に継続的に提供されていくことが求められる。
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