研究課題/領域番号 |
23593260
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
長瀬 雅子 順天堂大学, 医療看護学部, 准教授 (90338765)
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研究分担者 |
青木 きよ子 順天堂大学, 医療看護学部, 教授 (50212361)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 神経難病看護 / スピリチュアル / 看護師の認識 / 専門性 |
研究概要 |
神経難病は、症状の進行とともに自立的な日常生活が困難になる可能性のある病であり、多くの患者や家族が病の転換点でスピリチュアルな苦悩を抱えていると考えられる。このようなスピリチュアルな苦悩についての洞察が看護の質を高めることは、終末期医療や精神医療の場を中心とした多くの既存研究で論じられてきた。一方で、神経難病患者・家族のスピリチュアルな苦悩や看護職によるスピリチュアルケアの実践に関する研究は、看護学、医学、医療社会学を見渡してもほとんどみられない。そこで、本年度はまず、神経難病患者がそもそもスピリチュアルな苦悩を抱えているのか、もし抱えているとするなら、どのようにその苦悩に向き合っているのかを、彼らの手記を分析することで明らかにした。分析対象とした手記は6冊で、病の転換期におけるそれぞれの経験を取り出した。彼らは、診断を受けたときだけでなく、症状の進行時期に繰り返しスピリチュアルな苦悩を経験していた。これらの苦悩は、【人生の意味への苦悩】【将来への予期的な恐怖】【孤立感】に分類された。また、彼らの苦悩への対処は、【生き方の見直し】【明るく前向きな生き方】【希望】【人との繋がり】に分類された。 また、特定機能病院に勤務し、神経難病患者への看護に従事している看護師が、臨床において患者のスピリチュアルな苦悩をいかに受けとめ、ケアを実施しているのかを明らかにするために、インタビュー調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は、神経難病患者・家族がどのようなスピリチュルな問題を抱えているのかを、文献調査を通して明らかにするとともに、神経内科に勤務する看護師を対象としたインタビュー調査に着手する予定であった。文献調査は終了し、現在査読付き雑誌に投稿中である。また、本年度のインタビュー調査はパイロット的に行い、本調査は平成24年度に実施する予定であったが、予定数のインタビューデータが収集できた。ただし、予算の都合で、5名分のデータの書き起こし、分析に着手できていない。なお、連携研究者と研究打ち合わせを実施し、調査過程の妥当性の確保に努めている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、今年度収集したインタビューデータを分析し、国内外の学会等で公表していく予定である。それと同時に、平成25年度に実施予定の質問紙調査の準備をすすめる予定である。 なお、平成23年度の調査結果をそのまま質問紙作成に結びつけることが困難であろうと予測している。そのため、質問紙調査の実施が当初の計画より遅れる可能性がある。また、24年度には新たに文献調査を加えることとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
国内外の神経難病患者のQOL向上にかかわるケアについての文献を収集し、サブストラクションを用いた文献検討を行う。研究費は、主に、文献収集と23年度の成果報告、国外発表のための英文校正に使用する。
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