研究課題/領域番号 |
23593263
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研究機関 | 聖路加看護大学 |
研究代表者 |
長松 康子 聖路加看護大学, 看護学部, 助教 (80286707)
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研究分担者 |
佐居 由美 聖路加看護大学, 看護学部, 准教授 (10297070)
田代 真理 聖路加看護大学, 看護学部, 助教 (40584173)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 中皮腫 / 看護師 / 教育 / 評価 / 石綿 / プログラム / サイト |
研究概要 |
1.プログラムの開発:先行研究をもとに、胸膜中皮腫患者のケアを行う看護師の学習ニーズを分析し、Dickらのインストラクショナルデザインを用いて、2日間(1日目:8時間、2日目:6.5時間)のメインプログラムと1ヶ月後の3時間のフォローアップ・プログラムを作成した。講師は、胸膜中皮腫患者のケア経験のある呼吸器内科医師、呼吸器外科医師、がん専門看護師、保健師であった。プログラムは30人を定員とし、5~6名ごとにファシリテーター1人を配置した。講義内容は、中皮腫概論、外科療法、内科療法、中皮腫の症状と緩和ケア、中皮腫患者と家族の病気毎のニーズ、在宅ケアとコーディネーション、症状マネージメント、胸膜中皮腫ケアに必要なケアスキル、看護師のストレスマネジメントであった。患者の理解を深め、態度を向上させるためには、ナラティブな語りが必要と考えたため、患者自身による講演の時間を設けた。2.測定用具の開発:胸膜中皮腫について、(1)胸膜中皮腫のケアに必要な知識尺度、(2)胸膜中皮腫ケアにおける困難感尺度、(3)胸膜中皮腫患者への望ましいケアに対する態度尺度を開発した。3.リクルート:研究に参加した看護師188名を、最小化法を用いて介入群とコントロール群に割り付けた。4.プログラムの実施:2011年10月から12月に3回のメインプログラムと10回のフォローアップ・プログラムを実施した。 5.プログラム評価:プログラム前、プログラム直後、プログラム1ヶ月後の3時点で、(1)胸膜中皮腫のケアに必要な知識、(2)胸膜中皮腫ケアにおける困難感、(3)胸膜中皮腫患者への望ましいケアに対する態度、(4)、ケアスキルを測定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、看護師向け胸膜中皮腫ケア教育プログラムを開発し、その実施と評価を行う計画であった。予定通り、システムアプローチモデルを用いて、2日間(14時間半)のメインプログラムと3時間のフォローアッププログラムを開発した。メインプログラムは医学的知識やケアに関する講義、患者による語り、ロールプレイから構成され、各回30名を定員とし、5~6名ごとにファシリテーター1名を配置した。1ヶ月後のフォローアップ・プログラムは、学習内容を臨床で実施した結果についてグループディスカッションを行った。研究に参加した看護師188名を、最小化法を用いてランダムに介入群とコントロール群に振り分け、介入群に対してプログラムを実施した。コントロール群には小冊子を配布して自宅学習を行ってもらった。プログラム前(プレテスト)、プログラム直後(ポストテスト)、1ヶ月後(フォローアップテスト)の3時点で、独自に開発した「胸膜中皮腫ケアに必要な知識尺度」、「胸膜中皮腫患者のケアにおける困難感尺度」、「胸膜中皮腫の望ましいケアに対する態度尺度」、「胸膜中皮腫患者のケアスキルアンケート」と実施した。本邦初の看護師向け中皮腫情報サイトを開発した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、以下の3つの活動を行う。(1)昨年度に収集した評価データの分析:介入群とコントロール群の「胸膜中皮腫ケアに必要な知識」、「胸膜中皮腫患者のケアにおける困難感」、「胸膜中皮腫の望ましいケアに対する態度」、「胸膜中皮腫患者のケアスキル」を比較し、胸膜中皮腫ケア教育プログラムの評価を行う。(2)看護師向け中皮腫情報サイトの充実:開発した看護師向け胸膜中皮腫ケア教育プログラムの一部を、情報サイトで公開する。(3)胸膜中皮腫患者の緩和ケアワークショップの開催:昨年度のプログラム参加者から要望の多かった、胸膜中皮腫患者の緩和ケアに関するより実践的なワークショップを少人数で開催する。最終年度は、看護師向け中皮腫情報サイトの評価と論文発表を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は、主に胸膜中皮腫患者の緩和ケアワークショップの開催費用に使用する予定である。なお、2011年に支払う必要が発生した教育プログラム参加者への被験者謝金が不足したため、次年度の研究費を合わせて使用することとした。
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