研究課題/領域番号 |
23593266
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
村岡 宏子 東邦大学, 看護学部, 教授 (60258978)
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研究分担者 |
尾崎 章子 東邦大学, 看護学部, 教授 (30305429)
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / 家族介護者 / 心のバリアフリー化 / モデルの構築 |
研究概要 |
2013年3月、難病対策の抜本的改革により予算が拡充された。今後、重症難病者であるALS患者等のレスパイト入院病床の確保や包括的支援体制の構築が、検討されていくと推測される。2012年度、本研究におけるALS介護者への訪問調査を通じて、患者と家族介護者を一つのセットとして考えるケアシステム構築の必要性が示唆された。調査に協力した4名のALS患者は、気管切開前の患者、非侵襲的人工呼吸器装着者がそれぞれ1名、侵襲的人工呼吸器装着者は2名だった。病気の進行が急激で、主介護者ひとりでは、ケアが難しくなっていた配偶者は、睡眠障害や引きこもり傾向が出現していた。また、呼吸器装着者の家族介護者では、働き盛りにもかかわらず退職を余儀なくされ、ケア中心の生活が組み立てられていた。こうした家族が、介護の手を少しでも休められるよう、専属に吸引行為をお願いできるサービスを希望する一方で、それは非現実的なサービスの可能性があった。というのも、痰の吸引が必要な時期には、コミュニケーション手段を失い、身体の運動機能障害が並存する時期でもある。単に、吸引操作が問題なのではなく、患者が何を欲しているのかを読み取れる人のケアの必要性であった。家族が、片時も傍を離れられないのは、自分に代わるそうした技術を備えたケア提供者が容易に探せないことも一要因にあったのである。地域によっては、吸引を引き受けてくれる事業所の存在もままならない現状がある。本研究は、ALSの家族介護者における「心のバリアフリー化促進モデルの構築」のために、ALSという病気の特徴、療養介護の困難さを踏まえて、有効な支援モデルをさらに明確化する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2012年度は、筋萎縮性側索硬化症の家族介護者における心のバリアフリー化促進モデルの構築のために、介護者の置かれている現状把握を主体にした調査を展開した。
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今後の研究の推進方策 |
2012年度の成果を踏まえて、「心のバリアフリー化」促進のために、ALS患者と家族をセットで支援できるモデルの構成要素を抽出していく必要性がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
「心のバリアフリー」という概念について分析し精錬する。その際、家族介護者へのインタビュー結果を統合し、分析する。また、神経難病の専門看護師、難病看護の研究者とのディスカッションを通じて、概念、下位概念を明確化し、質問項目を作成する。「心のバリアフリー化の促進」に関する質問紙の信頼性と妥当性を検討するために、ALS家族介護者約50~80名を対象に検証する予定である。平成24年度に謝金を予定していた研究費が計画よりも抑えるができたため、その分未使用額が発生した。平成25年度は、この残額とあわせて家族介護者への調査時の謝金および郵送料として支出を予定している。
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