平成25年度は、セルフケア能力の質問紙(Self-Care Agency Questionnaire、以下、SCAQ)を活用した「慢性病をもつ人のセルフケア能力を高める看護支援プログラム」の展開とその効果を検討するための調査を実施し、成果をまとめた。また、この看護支援プログラムの視覚教材に関する調査を行い、成果をまとめた。 1.支援モデルの展開と効果の検討 「慢性病をもつ人のセルフケア能力を高める看護支援プログラム」に沿って支援を展開してもらい、その効果を検討した。2回以上の質問紙調査(SCAQの回答)に協力が得られた16ケースで、看護支援プログラム前後のSCAQの有意差を検討した。SCAQ全体得点、および、3つの構成概念「選択する能力」「生活の中で続ける能力」「支援してくれる人をもつ能力」において、支援後に有意に得点が高くなっていた(p<0.05)。15名の看護師への面接調査結果から、この支援プログラムにより、看護師は<患者の生活を捉えることができる><看護師が変わり患者も変わる>と感じていた。また、この支援プログラムを展開することにより、看護師は、<理想とする看護ができる>という実感や<看護する喜びとやりがい>を感じていた。 2.看護支援プログラムの視覚教材(DVD)の検討 看護支援プログラムの視覚教材DVD(講義編:26分、ロールモデル編29分)について、19名の看護師に面接調査を実施した。講義編は、内容的にわかりやすく、「できることを一緒に探す」「強みを伸ばす」などの<セルフケア支援の要点>が理解できるとされた。ロールモデル編は、講義編よりもさらにわかりやすく、<具体的な支援のイメージがつく>とされた。ロールモデル編では、<患者が主体的な選択ができるような関わり>に関する具体的な支援方法の理解が深まっていた。多様な事例での視覚教材:ロールモデル編の開発の希望があった。
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