研究課題/領域番号 |
23593271
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研究機関 | 佐久大学 |
研究代表者 |
箕輪 千佳 佐久大学, 看護学部, 助教 (10520835)
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研究分担者 |
小板橋 喜久代 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (80100600)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 自律訓練法 / がん患者 / 手術 / ストレス / リラクセーション / 唾液アミラーゼ / 心拍変動 / SIgA |
研究概要 |
本研究の目的は,告知から手術まで,また,手術後も心理的ストレスが強いことが報告されているがん患者を対象に,周術期に自律訓練法を行い,そのリラクセーション効果を,主観的指標と客観的指標から評価することである.本年度上半期は,無作為化比較試験を行うため,研究対象施設の関係スタッフと研究プロトコールについて検討,確定し,研究実施のための環境を調整した.研究者所属大学の倫理審査委員会および研究協力施設の倫理審査委員会の承認を得て,乳がんの手術を受ける患者を対象としてデータ収集を開始した.手術前日から手術後7日目まで自律訓練法を行ない,不安,疼痛,倦怠感,睡眠の状態を主観的指標とし,心拍変動,唾液アミラーゼ,唾液IgAを客観的指標とした.看護ケアとしての自律訓練法の効果を評価するために,自律訓練法は臨床心理士が指導を行うのではなく,看護師である研究者が指導した.また,対象者が自己練習できるように群馬大学医学部附属病院リラクセーション外来作成の自律訓練法のCDを配布し,CDレコーダーを貸し出した.12名の患者の参加協力が得られ,事例ごとに検討しながら,進めていった.その結果,不眠時に有効だったとの声が多く聞かれた.また,対照群も,希望すればデータ収集終了時に自律訓練法の指導を受けることができることを説明していたところ,比較的若い世代の患者から,指導を受けたいとの希望が出され,自律訓練法を含めた補完療法への関心の高さが示された.来年度は引き続き症例の蓄積と詳細な分析を行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究対象施設を,乳腺専門医院と乳腺外科のある病院の複数施設を研究対象施設とし,研究者への患者紹介の方法やデータ収集のプロトコールなどの実施方法を検討,それぞれの倫理委員会の承認を得て,データ収集を開始できた.12例実施したが,特に問題なくこのまま継続できる見込みである.本年度は症例数が少ないので,事例検討を中心に行い,統計的な比較はしていないが,統計ソフトは現有しており問題ない.また,パイロットスタディで行った結果を国内外の学会(15th East Asian Forum of Nursing Scholars, 第31回日本看護科学学会学術集会)で発表しており,本年度計画したことは遅滞なく実施でき,おおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き計画したプロトコールに沿って,症例数の蓄積と分析を行う.研究対象施設の関係者とコミュニケーションを良く保ち,何かあったときには,迅速に対応する.国内外の学会で最新の情報を収集,知識を深め,人脈を広げ,本研究を推進させる.また,ある程度症例数が得られたら,統計的に比較し,中間評価をする.研究計画の変更,研究を遂行する上での課題等は,今のところ見当たらない.
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次年度の研究費の使用計画 |
心拍変動解析のデータを収集するための心電図電極,唾液アミラーゼを測定するための唾液採取チップ,主観的指標のうち不安の大きさを測定する質問紙であるSTAI質問紙など約30人のデータを収集するための物品の購入に30万円,旅費は17th International Conference on Cancer Nursing での発表と国内学会参加や発表に30万円,SIgA 検査は外部委託であるため検査料に20万円,英論文の英文校正,データ入力のアルバイト雇用の人件費および研究参加者への謝礼に10万円を使用する予定である.
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