研究概要 |
自律訓練法は不安や緊張に関連して引き起こされる様々な症状を緩和するリラクセーション効果があることが明らかとなっている。本研究の目的は、多くの患者の心理的ストレスが高いと報告されている周術期の乳がん患者を対象に自律訓練法を行い、そのリラクセーション効果を主観的指標と客観的指標から評価することである。 自律訓練法を実施する対象者(実験群)と自律訓練法を行わず通常のケアのみを受ける対象者(対照群)に無作為に割り付け、手術前日から術後7日目までの入院期間を実験期間とした。状態不安(新版STAI), 疼痛(VAS), 倦怠感(VAS), 睡眠(自作質問紙)を主観的指標とし、心拍変動(LRR-03, Mem/Calc Tarawa), 唾液中分泌型免疫グロブリンA(S-IgA)を客観的指標とした。 自律訓練法は、群馬大学医学部附属病院リラクセーション外来で作成したCD教材を実験群の対象者に配布し、1日3回実施してもらった。有害事例はなく、途中脱落者もなかったことから、周術期の患者にも取り入れやすい方法であることが推察された。 結果、主観的指標は両群で有意差はなく、客観的指標も有意差は部分的にとどまった。 状態不安が高い対象者が少なく、心理的ストレスに適応していたためだと考えられる。
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