平成26年度は、収集したインタビューデータを質的に分析し、結果の明確化を行った。インタビューを進めていく中で、対象者の療養継続には医療者の働きが大きく関与している状況が把握できたため、計画段階では計画していなかった医療者を対象としたインタビューを追加実施することを検討し、研究を遂行していった。 医療者のなかでも青年期以降に発症した1型糖尿病患者は、患者数が限定され、より専門性の高い施設に通院していることが推測されたため、中国~関東地区の病院および糖尿病専門クリニックに勤務する糖尿病看護認定看護師に研究の依頼を実施、同意の得られた8名を対象にそれぞれ2グループでフォーカスグループインタビューを実施した。インタビューでは、支援する側が捉える患者の課題、支援時の困難等についてインタビューを行なった。 インタビューの内容を分析した結果、特に、経済的面に対する支援に関しては、多くの患者が抱えている問題として語られており、生涯にわたって必要不可欠な高額なインスリンに対する経済的な負担が明確に浮き彫りとなっていた。また、小児期発症患者では、生活拡大に伴う問題が20歳前後の大学生から就職直後の時期に出現するのに対し、青年期以降発症の患者では、それまで培ってきた生活習慣や社会生活の中でどのように療養行動を組み込んでいくかの調整が困難であり、支援もそこに大きく関わることが必要であることが明確化された。 今後は、これらの研究結果を踏まえ、小児期発症の1型糖尿病患者とは異なる療養支援方法の検討を行っていくとともに、患者自身がセルフモニタリングしながら自己の身体的状況を把握し、生活に合わせた療養行動が実践できる支援内容の検討につなげていきたいと考える。また、患者を対象としたインタビューから抽出された結果をもとに、調査票を作成しており、今後量的研究へと研究を拡大していく予定である。
|